未収金が発生した場合は早めの督促を
■収支決算報告書の未収金の記載
管理費や修繕積立金、駐車場使用料、自転車置き場使用料などに、未収があった場合でも会計上は収入として計上することが一般的に多くの管理組合で行われています。
現段階では回収できる可能性があるので収入として収支決算報告書に記載するのです。それではどのようにして、未収金(滞納金)がどれだけあるのか確認できるのでしょうか。
会計報告書の「貸借対照表」の未収金の科目に未収金額を記載します。組合員は自分の大切な財産がどのような状態かを確認し、把握しておく必要があります。実際に管理組合のお財布に入っていないお金が収入として計上されるので、なかなか理解するのが難しいために質問、相談が多く寄せられています。
未収金の発生を防止する対策としては、未収金が発生したときには、早期のうちに督促を行うことが必要です。3か月以上滞納が続く場合には、法的な督促など理事会として毅然とした対応が不可欠です。
また、ご相談の中には、賃借人等が駐車場使用料、自転車置き場使用料など管理組合の施設利用を滞納したまま引っ越してしまい、行方がわからなくなってしまったケースがよくあります。未収入金も管理組合員の大切な財産ですのでそれを回収不能にならないようにこまめにチェックすることが大切です。また、賃借人の施設利用料の滞納を防止するには、予め保証金を納めることを規約や細則で定めることが考えられます。
管理組合の財産をチェックすることは組合員一人ひとりの責務です。管理組合の会計報告書は比較的理解しやすいといわれていますが、一般の組合員にとっては理解できない場合があります。そのような場合は躊躇せずに管理会社の会計担当者に説明を受けることをお勧めします。
■管理組合の監査の重要性
平成28年3月の標準管理規約改正で管理組合の監事の役割が大幅に改正されました。
従来は監事の役割は標準管理規約第41条3項までしかありませんでしたが、7項までになり、3項の「監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。」という理事会に出席が任意規定でしたが「監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。」という強行規定に変更されて監事の役割は重要になりました。単棟型標準管理規約第41条関係コメントでは次のように解説しています。
①第1項では、監事の基本的な職務内容について定める。これには、理事が総会に提出しようとする議案を調査し、その調査の結果、法令又は規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときの総会への報告が含まれる。また、第2項は、第1項の規定を受けて、具体的な報告請求権と調査権について定めるものである。
②第4項は、従来「できる規定」として定めていたものであるが、監事による監査機能の強化のため、理事会への出席義務を課すとともに、必要があるときは、意見を述べなければならないとしたものである。ただし、理事会は第52条に規定する招集手続を経た上で、第53条第1項の要件を満たせば開くことが可能であり、監事が出席しなかったこと は、理事会における決議等の有効性には影響しない。
③第5項により監事から理事会への報告が行われた場合には、理事会は、当該事実について検討することが必要である。第5項に定める報告義務を履行するために必要な場合には、監事は、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる旨を定めたのが、第6項である。さらに、第7項で、理事会の確実な開催を確保することとしている。
(監事)
第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
3 監事は、理事会に出席して意見を述べることができる。