(※画像はイメージです/PIXTA)

自分の意見に固執する人は、自分の意見が受け入れられなければ、疎外されたと感じます。「みんなバカばっかりだ」「こいつらはなんてわからず屋なんだ」とひねくれるしかありません(ときにはこう考えることも有益ではありますが)。しかし…… ※本連載は精神科医である和田秀樹氏の著書『孤独と上手につきあう9つの習慣』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

知識がある人ほど「余裕」がある理由

最初、石ころのように小さかった知識が、あなたの努力によって、少し大きめの岩くらいに成長したとしましょう。あなたの知識が石ころの島だったときも、岩くらいの島に成長したときも、周囲は海に囲まれています。島が「知識」、海が「わからないこと」です。

 

知識をつけるごとに、島は確かに大きくなっていきます。しかし、島が接している海岸線も、それに相関して大きくなってしまうのです。

 

つまり、ひとつわからないことを知ると、それによってさらにわからないことが増えるということ。世の中の謎を知るために知識を身につけても、謎はどんどん深まっていくばかり。だから、知識を身につけるということには終わりがありません。

 

ギリシャの哲学者、ソクラテスが言ったように、「自分が知らないということを知っているのは、知らないということを知らないよりも優れている」ものです。

 

知識を身につければ、自分が「知らない」ということを知ることができます。

 

それが「謙虚」という気持ちを生むのです。

 

■知識がある人ほど「笑って」すませられる

 

知識のある人ほど、他の人がどう考えているか、どう感じているかを知りたいと思い、他人の話に耳を傾けられます。自分の考えとは違っていたとしても、一刀両断に切り捨てたりはしません。すぐに感情的になったりせず、冷静な議論ができます。人の意見を聞くという謙虚な気持ちがあるからです。

 

もし、相手がすごく思い込みの激しい人で、自分の感情をむき出しにしてきたとしても、「まあ、ここは言わせておこう」と笑ってすませられます。その場の「勝ち負け」にこだわらずにすむのです。

 

ところが、自分の意見を声高に言う人ほど、自分とは違う意見を聞いたとき、十中八九、受け入れられません。彼らは「演説」ができるだけで、「議論」はできないのです。

 

この両者を比べてみれば、どちらがより孤独に強いかは、一目瞭然です。

 

自分の意見に固執する人は、自分の意見が受け入れられなければ、疎外されたと感じます。「みんなバカばっかりだ」「こいつらはなんてわからず屋なんだ」とひねくれるしかありません(ときにはこう考えることも有益ではありますが)。

 

しかし、自分の意見があったとしても、「世の中には自分の知らないことが山ほどある」と知っている人は、自分の意見に固執せずにすませられます。相手の言っていることが間違っていると思っても、柔軟に対応できます。相手の意見に耳を傾けられるので、一緒におしゃべりしていて楽しい相手と認識されます。

 

知的に武装するということは、あなた自身の生き方の指針を得るためにも必要ですが、他人とのかかわり方をスムーズにするにも必要なものです。

 

誰かと議論をしたいとか、自分の賢さを誇りたいとか思っていなくても、人生を豊かにするために、知的な武装はしておいたほうがいいのです。

 

 

和田 秀樹

和田秀樹こころと体のクリニック 院長

 

 

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