※画像はイメージです/PIXTA

マンションの近隣トラブル。自分の部屋の「漏水」が別の部屋へ被害をもたらしているにも関わらず、補修工事に協力しない住人がいたら、どう対処すればよいのでしょうか? .「管理組合からの質問」に、香川総合法律事務所・代表弁護士の香川希理氏が答えます。 ※本連載は、書籍『マンション管理の法律実務』(学陽書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

訴訟は時間がかかる?とるべき法的手続は…

このケースのように、立ち入りが必要な専有部分の区分所有者が立ち入りを拒んでいる場合、管理組合としてはいかなる法的手続をとるべきでしょうか。

 

この点、緊急性を要するため、通常の民事訴訟を提起していては、手遅れになってしまうおそれがあります。そこで、仮処分命令の申立てを検討すべきです。

 

仮処分が認められるためには、「被保全権利」と「保全の必要性」という要件を満たす必要があります。

 

「被保全権利」の要件においては、仮処分で保全されるべき権利の存在があることを疎明する必要がありますが、上記のとおり、管理組合は(標準)管理規約23条1項、2項、4項に基づき、専有部分への立入権(立ち入り請求権)を有します。

 

「保全の必要性」は、本訴が終わるまで待っていては権利の実行が困難になる場合に認められます。この点、このケースにおいては、またいつ漏水が発生するかわからない状況が続いており、漏水が再発した場合には、101号室の建具等が汚損するなどして被害が拡大するおそれがありますので、まさにこの要件を満たすといえます。

 

 

香川 希理

香川総合法律事務所 代表弁護士

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

トラブル事例でわかる マンション管理の法律実務

香川 希理

学陽書房

【マンショントラブルの法的対応が、具体的な事例からわかる!】 専門性の高いマンション管理の法的トラブルは、意外な落とし穴が数多く存在します。 実務経験の豊富な著者が、初任者がつまずきやすい論点もやさしく解説。 …

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