(※写真はイメージです/PIXTA)

「管理会社が全てやってくれるのでは?」「管理費や修繕積立金を払えば、その範囲内で上手いことやってくれるんでしょ?」と考えているとすれば、それは間違いです。自分たちのマンションを管理するのは管理組合だといいます。管理組合と管理会社の役割は。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

滞納管理費等の回収はあくまで管理組合が行う

■管理会社の管理費等の督促

 

各区分所有者から徴収する管理費等について滞納が長期化すると、管理組合会計が圧迫され、管理業務が予定通り実施できず、管理組合運営や資産の保全に重大な影響を及ぼします。従って滞納管理費等の徴収については、積極的な対応が必要です。

 

マンション標準管理委託契約書では、事務管理業務として別表第一に、管理費等の滞納者に対する対応が規定されています。毎月管理組合の管理費等の滞納状況を管理組合に報告することや、組合員が滞納したときに最初から起算して一定の期間(管理会社と定めた期間)電話もしくは自宅訪問又は督促状の方法によりその支払いの督促を行うことが規定されています。

 

ですから管理会社はこの契約に基づいて上記の方法で督促を行うことになります。管理会社の担当者(フロント)に、督促方法やその実施日、回数などの報告を受けながら理事会も積極的に協力することも必要です。管理会社との協力方法について、管理会社と協議する必要があります。

 

しかしながら、滞納管理費等の回収はあくまで管理組合が行うということに留意する必要があります。

 

そのため、協力内容は、弁護士法第72条※の規定を踏まえて行うことは当然です。又、管理組合名義による配達証明付内容証明郵便による督促状の費用、弁護士相談費用等の負担に関し具体的に規定してください。

 

加えて、滞納状況を把握するための会計書類は、プライバシーの侵害にならないように、例えば、管理組合の総会で決算資料として報告する場合には、滞納者名は伏せるような配慮をするなど、その取扱いには充分に注意することは言うまでもありません。

 

※弁護士法第72条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 

マンション管理の主体はあくまでマンション管理組合だという。(※画像はイメージです/PIXTA)
マンション管理の主体はあくまでマンション管理組合だという。(※画像はイメージです/PIXTA)

 

■時間有人管理と住み込み管理員

 

築年数が30年から40年位のマンションでは、管理員がマンションの一室に居住して管理員業務を行う、いわゆる「住み込み管理員」のマンションは少なくありません。

 

このようなマンションが竣工された当時は、現在のようにマンションにセンサーを設置して、設備の異常、不審者の建造物侵入や火災等の異常を機械で察知し、その発報を遠隔地で受信し、警備員が現場へ急行し初期対応をとる機械警備システムが完備されていなかったことから、管理員も一緒に住んでいるという安心感が居住者の安心をサポートする住み込み管理員方式を多く採用されていたようです。

 

とはいうものの、管理員業務の時間は、管理委託契約の中で規定されているので、24時間管理員が常駐しているとは限らないのです。

 

管理員も管理会社に雇用されていることから、休日を取ったり、勤務時間以外はマンションを離れたりすることができます。

 

ですから、基本は通勤方式の管理員と勤務時間は同じなのです。

 

ただ、実態として管理員の家が同じ屋根の下にあるということになります。また、管理会社を変更した場合など通勤の管理員に契約を変更することがあるため住み込みで管理員を求職する方が最近はめっきり少なくなり、良い人材が集まり難いとも言われています。

 

一方、管理員が住み込むのに使用していた部屋は、規約共用部分になるので維持費等を管理組合で負担する場合もありますので経費も掛かります。近時、警備会社によるオンライン機械警備や管理会社の24時間コールセンターサービスを利用することで、安価で確実なサービスができるようになってきました。

 

そのような事情から、住み込み管理員方式を通勤方式に変更するマンションが多くなっています。管理員の居室の利用法としては、築年数が経過したマンションの場合には、専有部分の大幅なリフォームを行う住戸があるので、その際に仮住居として利用できるゲストルームに転用したり、集会室として利用したりして組合員に有効な活用をしているマンションが増えています。

 

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マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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