(※画像はイメージです/PIXTA)

お客様の満足のため「1個在庫・多品種展示」、「料理道具ヲタク」のいる店とメディアで取り上げられ、業績は増収増益へ。有頂天になっている社長に突きつけられた集団辞職が…。※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

社長の心を占めていたのは極度の売上恐怖症

しかし、現実はまったく違ったのです。なぜでしょうか?

 

理由の一つが、僕の心の底深くに根を張っていた極度の売上恐怖症でした。

 

「一人のお客様を心から喜ばせられれば、結果的に売上はついてくる」

 

頭では、そう理解できているつもりでした。ところが、「売上がなければ会社は継続できない……。また売上に悩まされる日々に戻りたくない」という恐怖心がずっと僕を支配していたのです。

 

いい会社の4条件を揃えることは、その恐怖心から目を背けるのには好都合でした。

 

そうすれば、「なぜ、もっと努力をしないんだ!」「なぜ、もっと売上をとれないんだ!」「どうして、お客様をもっと喜ばすことができないんだ!」と、できない責任を従業員に押しつけることができたからです。

 

「僕はこんなに頑張っているのに!」と示したかっただけなのです。

 

従業員のためを装いながら、僕は売上のことしか考えていませんでした。

 

本来であればいちばんの味方であり、もっとも大切にすべき従業員たちを、小間使いのように扱っていました。経営者である自分は「お客様のためならば何をしてもよい」とばかりに振る舞っていました。

 

そんな僕の、醜い心の内を見透かしていたのでしょう。だから、従業員たちは飯田屋から去っていきました。

 

いい会社をつくっている気になっていただけで、会社を内側から壊し続けていたのは、安売りに走ったときと同じく、ほかならぬ僕だったのです。

 

経営者失格、後継者落第――それが僕の現実でした。

 

 

飯田 結太
飯田屋 6代目店主

 

 

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

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