(※画像はイメージです/PIXTA)

お客様の満足のため「1個在庫・多品種展示」、「料理道具ヲタク」のいる店とメディアで取り上げられ、業績は増収増益へ。有頂天になっている社長に突きつけられた集団辞職が…。※本連載は飯田結太氏の著書『浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟』(プレジデント社)を抜粋し、再編集したものです。

衝撃的な辞職理由「あなたと働きたくない」

一方で、僕が不在となった店ではトラブルが後を絶ちません。お客様の前で怒鳴り合いの喧嘩が始まり、感情的になった従業員が商品を蹴り飛ばして店を出て行ってしまうといった不始末も起きます。さらに、売上伝票やクレジットカードの使用控えが紛失するなど、会社としての信用に傷をつけかねないトラブルも増えていました。

 

どうしたらよいのかわからず途方に暮れていると、退社が決まっていたある従業員が教えてくれました。

 

「最後だから言いますけど、あなたと働きたくないから辞めるんですよ」

 

耳を疑いたくなるほど、衝撃的なひと言でした。

 

このとき初めて、従業員が辞めていった本当の理由を知ったのです。

 

■間違っていた「いい会社」の条件

 

いい会社にしようと、僕は必死に手を尽くしてきたつもりです。

 

従業員たちが喜ぶだろうと思い、取り組んだ改善は大きく4つありました。

 

① 給与の改善
② 休暇の増加
③ 福利厚生の充実
④ 働いていることが恥ずかしくない

 

この4条件が「いい会社」の条件だと僕は考えていました。

 

まずは、業績の向上に合わせて給与をアップしました。驚くことに、給与を上げた直後にも人は辞めていきました。

 

次に完全週休2日制を取り入れ、さらに夏期休暇・年末年始休暇を充実させました。それにもかかわらず、また人は辞めていきました。

 

従業員たちのモチベーションやパフォーマンスの向上を図るため、セミナーや勉強会への参加や書籍購入が積極的にできるような体制を整えました。それでも、やはり人は辞めていったのです。

 

テレビ出演や雑誌掲載などメディア活動に力を入れました。「飯田屋で働くことに誇りを感じろ!」と言わんばかりに、知名度向上のためにどれだけ僕が頑張っているか、どれだけ認知された店で働くことが幸せなのかを従業員に伝えました。

 

それなのに、従業員の過半数から一斉に退職願いを突きつけられたのです。

 

この4つが揃うことこそが、働きやすさだと考えていました。

 

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浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

浅草かっぱ橋商店街 リアル店舗の奇蹟

飯田 結太

プレジデント社

効率度外視の「売らない」経営が廃業寸前の老舗を人気店に変えた。 ノルマなし。売上目標なし。営業方針はまさかの「売るな」──型破りの経営で店舗の売上は急拡大、ECサイトもアマゾンをしのぐ販売数を達成。 廃業の危機に…

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