営業している店舗に「営業の制限」をできる場合
「特別の影響を及ぼすとき」の意義については、「規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受力すべき限度を超えると認められる場合」とした最高裁平成10年10月30日判決(民集52巻7号1604頁)の基準を用いて判断されています。
店舗営業制限の裁判例における具体的考慮要素は、おおむね以下のとおりです。
①当該マンションの構造、特に店舗部分と居住部分の配置および割合
②営業制限の内容(営業時間規制、業種規制の範囲等。一定の措置を議じれば営業を認める等の代替策が規定されているかも考慮されている)
③従前の規約内容(規約内容については形式的文言のみならず、制定経緯や運用など当該マンションにおける実態を踏まえた解釈が行われる)
④従前の運用実態(従前の営業時間・業種・形態、従前の営業により具体的にどのような弊害が存したか、これに対しどのような措置が取られたか)
⑤社会状況、近隣環境(従前の営業時間等が社会的および近隣環境において許容されているか。終電時刻等も考慮)
特別の影響を否定した例として前掲・東京高裁平成15年12月4日判決、肯定し変更決議を無効とした例として東京地裁平成25年6月13日判決(判秘)があります。
規約の合理性に関する判断時点は、規約変更・制定時としている裁判例もあります【前掲・東京高判平成15・12・4】。