(※写真はイメージです/PIXTA)

現代は将来の予測が困難な状態を意味するVUCAの時代と呼ばれています。 ※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

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「VUCA」って何?環境変化の前提に置くべきこと

VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動幅が大きいこと)、Uncertainty(不確実性が高いこと)、Complexity(複雑なこと)、Ambiguity(曖昧なこと)という英単語の頭文字を取った言葉で、環境変化が激しく先読みしにくい現代社会の特徴を表した言葉です。

 

2010年代から、世界の著名な経営者が集まるダボス会議等で使われるようになりました。いつの世でも、現在またはこれからの世の中がどうなりそうかということをキーワードで表現することが流行りますが、そうした表現の一つです。

 

Volatility(変動幅が大きいこと)というのは、例えば、株価や商品市況、原油価格等近年その変動の幅が大きくなってきています。例えば、電気自動車の米国テスラの時価総額が企業規模ではるかに大きなトヨタ自動車の時価総額の数倍を付けたり、ビットコインの価格が急騰したりしました。また、新型コロナウイルスによって、突然外国人観光客が99%来なくなったり、都市のロックダウンにより街中から人が居なくなったりすることもVolatilityの一つと言えるかもしれません。

 

Uncertainty(不確実性が高いこと)というのは、先が読めないということで、かつてであれば、市場や技術の動向というのは5年先位まである程度は読めていましたが、近年では、突然大きな政策変更が起きたりして、先読みがしにくくなっています。米中貿易摩擦や自動車の排気ガスに関する規制等も突然起きました。このため、設備投資などの計画を固定的に置いておくことができなくなりました。たとえ中期で計画を立てても、途中で環境変化に対して対応可能なようにしておく必要があります。

 

Complexity(複雑なこと)というのは、いろいろな要素が複雑に絡み合って、因果関係やインプットとアウトプットが単純ではないということです。例えば、二酸化炭素の排出量が増えるに従って地球温暖化が起こると言われていますが、気温上昇が一律に起きているわけではなく、夏が暑いだけでなく、冬に記録的な大雪が降るようなことも起きています。また、経済でいうと、価格を下げたからといってたくさん売れるわけではなく、一方で値段の高いものの方が良く売れたりすることもあり、単純ではありません。

 

Ambiguity(曖昧なこと)というのは、はっきりせず、絶対的な解決策や方法が見つからないということです。新型コロナウイルスが蔓延した2020年は、世界中が手探りで手立てを打たざるを得ませんでした。何が有効な手立てか分からなかったからです。ウイルスも変異が速く、昨日有効だったワクチンが、明日には効かなくなるかもしれません。

 

こういう変化が激しく、この先どうなるか予測がつかない現代ですが、だからといって何も手を打たないわけには行きませんから、そういうVUCAという時代に生きている、事業を行っていることを肝に銘じて、事業計画を立てていく必要があります。

 

その際に重要なことは、(1)一本調子の未来を前提としないこと(一律に上がったり下がったりしない)、(2)いざという時の変化対応力を付けておくこと(臨機応変に変える)、(3)変えることをいとわず、自ら変わっていく心構えを持つことです(能動的変化)。

 

ポイント
VUCAの時代に大切なのは、未来を固定的に捉えないことと、変化対応力を付けておくこと

 

次ページこれだけは押さえておきたい「12の共通トレンド」
事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

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