(※写真はイメージです/PIXTA)

良い事業計画書とはどんなものでしょうか。見やすいことはもちろんですが内容に説得力を持たせることを忘れてはいけません。説得力を持たせるために必要な要素と発想方法をポイント別に解説します。※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

【関連記事】「事業計画書」はどう書けばいいか?…既存・新規別「目次例」

事業計画書作成に必要な発想方法

一般に人の発想方法には、現状分析先行型とビジョン先行型という2つの対照的な発想方法があります。

 

現状分析先行型(英語でフォーキャスティング型といいます)は、まず現状を分析して、改善可能な点を抽出し、その改善を実施したら、これだけの目標が達成できるといういわゆる「積み上げ型」の発想方法です。この方法は、10人が10人、100人が100人誰でもできる方法です。その点分りやすくていいのですが、改善程度に留まり、志や目標が低くなりがちです。

 

一方、ビジョン先行型(英語でバックキャスティング型といいます)は、現状は一旦置いておいて、望ましい将来像を先に考えます。このため強い想いや高い志を反映して、目標が高くなります。ベンチャーで成功を収めた人や創業経営者などは、みなこの発想方法を取っています。

 

ただ、通常この発想方法ができるのは1割以下の人で、誰でもできるわけではないので、注意が必要です。慣れない人が、ビジョンや目標を設定する時にだけこの方法を使って、実行時になると積み上げ型となり、単なる夢物語を語っているに過ぎなくなってしまうことがあります。

 

ただこの発想方法が実際にできている人は、後天的に身に付けた人が多いので、現在できない人でも、身につけられる可能性があります。

 

事業計画書を作るのにどちらの発想方法を使ったらいいかということですが、求められる状況により、また責任者のタイプによって異なります。

 

まず状況からいくと、周りの環境や内部の状況から「改善」程度で済まされる場合は、フォーキャスティング発想で構いません。現実を見ながら、徐々に改善していけばよいわけです。また、社員やメンバーの人たちが誰もが馴染んでいる発想方法なので、付いてきてもらいやすいです。

 

一方、周りの環境や内部の状況が改善では済まされなくて、大きな改革やドラスチックな変革が必要な場合や、新規事業を起こす必要がある場合には、バックキャスティング型が必要です。ただ、一般の社員の発想方法との間にギャップがあるので、無理なことを要求されていると思われ、軋轢を生みやすくなります。

 

求められる状況と組織の責任者の発想が異なる場合には、発想を変えてもらうか、交代してもらう必要が出てくるかもしれません。

 

[図表1]

 

ポイント
求められる状況によって必要な発想方法が異なる

 

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事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

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