(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅金融支援機構が公表しているデータによると、コロナ禍の現在、25人に1人が住宅ローンの返済に問題を抱えていると分かっています。他人事ではない住宅ローン危機。解決策はあるのでしょうか。離婚した後、マイホームの住宅ローンを返済できなくなったFさんの事例をもとに、クラッチ不動産株式会社代表取締役の井上悠一氏が解説します。

離婚後…借金に加え、住宅ローンを半年滞納した男性

Fさん〈大阪市城東区在住/職業:旅行・運送業/年齢:50代〉

 

○不動産……中古マンション

○家族………離婚した妻、息子

○住宅ローンの残額……2300万円

 

Fさんは2年前に離婚し、マイホームには別れた妻と中学生になる息子が住んでいます。マイホームは大阪の都心部から少し離れた住宅地にある築15年の中古マンションで、15年前に、3800万円、返済期間35年の住宅ローンを組んでFさんが購入したもので、2300万円の住宅ローンが残っています。

 

離婚では、婚姻後に夫婦が築いた財産は、その貢献度に応じて分配する「財産分与」が行われますが、Fさん家では、マイホーム以外にこれといった財産がなかったので、離婚後もFさんが住宅ローンの返済を続け、完済後にFさんから妻へ名義を変えることを約束。自宅には妻と息子にそのまま居住してもらい、Fさんが家を出ることで離婚が成立しました。

 

自宅を出たFさんは地元福岡に戻り、旅行会社に再就職をしましたが、以前勤めていた会社より給料が低くなってしまったことから、消費者金融にお金を借りてどうにか住宅ローンの返済と、息子の養育費の支払いを続けていました。

 

しかし、次第に消費者金融から借りたお金を返すことができなくなり、どこからもお金を借りることができなくなったことから、ついに住宅ローンを滞納してしまいます。

 

離婚後Fさんのようにマイホームの所有者が新たに別の場所に家を借りて住むケースでは、住宅ローンの支払いに加え、自分自身の賃料の支払いが新たに発生します。

 

これに養育費の支払いが重なると経済的な負担が増えて、どうしても住宅ローンを支払う余裕がなくなり、住宅ローン破綻を引き起こしてしまいます。なかには、別れた妻が無償で住んでいることに嫌気がさして、なかば嫌がらせのように住宅ローンの支払いをやめてしまう人もいます。

 

Fさんの場合は、離れて暮らす息子のためにどうにか住宅ローンの支払いを続けようと、お金の工面に奔走しましたが、ご自身の収入では住宅ローンの支払いは重く、消費者金融からの借入を繰り返せば、負債は膨らみ、いずれ破綻してしまいます。

 

私の事務所に相談に来られたときには、すでに住宅ローンを半年滞納したあとでした。「息子はまだ中学生なので、転校させず、このまま自宅に住まわせてあげたい」「なんとか住み続けられる方法はないか」と必死に訴えるFさんを見ていると、なんとかしたいという強い思いがこみ上げてきました。

次ページ「住み続けられる方法」はあるが、煮え切らないFさん

※本連載は、井上悠一氏の著書『あなたを住宅ローン危機から救う方法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

あなたを住宅ローン危機から救う方法

あなたを住宅ローン危機から救う方法

井上 悠一

幻冬舎メディアコンサルティング

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