(※写真はイメージです/PIXTA)

経済のグローバル化に伴い、国際金融の重要性が急激に高まっています。国際金融取引には必ず為替変動リスクが伴うという意味では、「外国為替取引」は国際金融の代表格と言えるでしょう。国内金融取引だけでは対応できない時代だからこそ押さえておきたい、外国為替取引の種類やリスクヘッジの方法を解説します。※本連載は、大村博氏の著書『Q&Aでサクサクわかる金融の世界』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

「貨物以外」を対象とする取引

<解説2>貿易外取引

貿易外取引とは、貨物の輸出入取引以外の取引の総称で、輸出入取引にかかわるサービスの提供(輸送、用船、保険、保管、検査、査証など)、技術の提供・援助、寄付、贈与、見舞い、海外旅行などが該当します。たとえば、日本の船会社が、パナマ国籍の船舶を借り、その用船料をパナマの船会社に支払う取引などが、その典型です。

 

<解説3>資本取引

資本取引とは、貨物やサービスの移動を伴わず、お金だけが移動する取引です。具体的には、金銭の貸借、投資、債務の保証、預金、証券の取得・売却、不動産の売買などが該当します。たとえば、日本人がハワイのコンドミニアムを購入し、その代金をハワイの持ち主に支払う取引などが、その典型です。

リスクの大部分は「日本貿易保険」でカバー可能

Q2.「外国との取引では、国内取引では起きないようないろいろなリスクがあります。そうしたリスクをヘッジするには、どのような方法があるのでしょうか?」

 

⇒A. カントリーリスクをヘッジする方法に、株式会社日本貿易保険の貿易保険制度があります。この制度により、海外事業に伴う相手国の政治リスクや災害リスクをヘッジすることができます。

 

<解説1>カントリーリスクのヘッジ

取引相手国の突然の政変や経済政策の変更などによって、契約上の取引が実行できない、代金を回収できないといったリスクの大部分を、株式会社日本貿易保険(NEXI)が引き受けてくれます。また、海外事業に伴う相手国の政治・経済リスクのほか、災害リスクについても貿易保険制度でヘッジすることができます(図表2)。

 

[図表2]貿易保険と海上保険の違い

 

<解説2>信用リスクのヘッジ

まずは、相手方の信用調査をしっかり行うことが大切です。海外取引先の信用調査には、国内と同様に興信所などの信用調査機関を利用する方法があります。また、ジェトロ(日本貿易振興機関)に行けば、資料の閲覧だけでなく、信用調査(有料)も依頼できます。

 

信用調査の結果、良好な取引先であることが判明しても、実際に輸出をするとなると不安が残ります。このような場合、決済面で両者の取引を安心して行えるようにしてくれる手段として、銀行が代金決済を約束する信用状があります。もちろん、カントリーリスクの場合と同様に、日本貿易保険がリスクの大部分を引き受けてくれます。

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Q&Aでサクサクわかる 金融の世界

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