(※写真はイメージです/PIXTA)

「国際金融取引」とは何か、答えられますか? 老後に備えて、株式や債券、為替、商品などで資産形成・運用しようと考えている人も少なくないでしょう。これらの手段も国際金融取引の一例です。ビジネスにも個人の資産形成にも有用な「国際金融取引」の基礎知識を見ていきましょう。※本連載は、大村博氏の著書『Q&Aでサクサクわかる金融の世界』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

なぜ「国際的な金融取引」を学ぶべきなのか?

Q1.「国際金融取引と国内金融取引との間には、決定的な違いがあります。国内金融だけでなく、国際金融を学ばなければならない理由もそこにありますが、それは何でしょうか?」

 

⇒A. 一般的に国によって通貨は異なります。国際的な金融取引の場合、複数の通貨が関係するため、それらの相対的な価値の尺度である為替相場(為替レート)が重要な意味を持ちます。

国際金融取引により「効率的な経済発展」が実現可能

<解説1>国際金融取引とは?

経済のグローバル化に伴い、金融を取り巻く環境は激変しており、今や国内の金融取引だけでは対応できない時代になっています。しかも、情報通信技術の急速な発展に伴いフィンテック(金融とITの融合)をはじめデジタル通貨(暗号資産)、IoT(モノのインターネット)など、技術革新がもたらす新たなツールが次々に現出しています。こうした状況にあって、国際金融の重要性は急激に高まっています。

 

国際金融取引とは、国境を越えて資金の過不足を融通し合うこと、つまり国を跨いで国際間で資金を融通し合うことです。グローバル化とデジタル化が急速に進む現在、対外的資本取引の重要性はますます増大しています。そうした中で、これまでにように限りある資本を、国毎に個別に活用していては経済の発展は望めません。国境を越え、世界規模で効率的な経済活動を可能にする重要な役割を担っているのが、国際金融取引なのです。

 

国際金融も、それ自身の内容は基本的に国内金融と同じですが、決定的な違いが存在します。それは一般的に国によって通貨が異なること、つまり国際的な金融取引には複数の通貨が関係するため、それらの相対的な価値の尺度である為替相場(レート)が重要な意味を持つという点です。国際金融取引には、必ず為替変動リスクが伴うという意味において、外国為替取引は国際金融の代表格と言えます。

 

[図表1]国際金融取引:国境を越えた資金の貸借(貸し借り)

 

<解説2>外国為替取引の具体例

外国為替取引には、たとえば日本の企業が米国に進出する際、現地の銀行から事業資金を借りること、反対に日本の銀行が日本で会社を設立したいと考えている外国の企業に対して、資金を貸し付けることなどがあります。ニューヨーク証券取引所に上場している日本株のトヨタ、ソニー、三井住友銀行、野村証券などは、正しくグローバル企業であり、国際金融取引の対象になっていると言えます。逆に、東京証券取引所に上場されている外国株のダウ・ケミカル、バンク・オブ・アメリカ、シティグループなどもグローバル企業であり、日本の企業や個人の投資対象として、売買が活発に行われています。

 

その他、広義では原油取引も国際金融取引の一環と言えます。原油取引の指標には、北米の「WTI原油」、中東の「ドバイ原油」、欧州の「北海原油」がありますが、一般的に原油の価格はWTI原油の価格によって決まります。ニューヨーク・マーカンタイル取引所に上場されていているWTI原油先物は、取引量、市場参加者ともに圧倒的に多く、ここの値段が「世界の原油の指標価格」になっています。

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Q&Aでサクサクわかる 金融の世界

Q&Aでサクサクわかる 金融の世界

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