自分の思想を深めること。
自然や人間の生き方や神について、日々新しく学び続ける人生を送り続けました。
その一意専心できる能力というのも素晴らしいですね。
私は子どもの頃から集中力が続かず、すぐに遊びに行ってしまったり、大きくなってもとりあえずビールでも飲みましょう的なスタイルが抜けないので反省させられます。
ただ、やっとこの年齢になって、好きで好きでやめられない、どうしてもやってしまうことを深掘りできるようになってきた気がします。
人は広い世界に憧れますが、深く生きることを忘れてはいけないことをカントが教えてくれています。
自分が一番のトップリーダーだと思っていた…
▼浅く生きる人=いかに生きるかに無関心
昔からの友人である東京工業大学の教授でリベラルアーツセンター研究教育院長の上田 紀行(うえだのりゆき)先生が話してくれたことが頭から離れません。
世界でも最先端技術を研究している研究者はわずか1年、2年の歳月でいつの間にか遅れをとり、下手をすれば周回遅れになることがある、とアメリカのマサチューセッツ工科大学に視察に行った際に聞いたそうです。
そして、そのときに果てしないアイデンティティークライシス(自己崩壊)を感じるといいます。
自分が一番のトップリーダーだと思っていたのに、気がつけば無用の存在になりかねない恐怖ははかりしれません。
自分は交換可能な存在だったのか……。
そんなときに彼らを救う力はリベラルアーツです。
リベラルアーツとは自由になる学問のことです。
教養、特に哲学や宗教の教育がいかに大切かと思います。
日本にはもともと、信仰という光があります。
信仰の歴史はおおまかにいうと五層構造になっていると言われています。
・祖先自然神道
・法華経信仰(仏教伝来)
・密教:天台宗、真言宗
・浄土教信仰
・禅宗ほか
このようなこともキチンと習った人は少ないと思います。 私自身も20代の頃にそれぞれ2人の優れた禅師(ぜんじ)からいろいろな教えを受ける機会に恵まれましたが、その後、経営の問題や講演のコンテンツとして仏教をあらためて学習しています。
仏教がおもしろいのは本や映像で学び、現地を訪ね歩いて立体的に学べるところです。
その流れで、ブータンでチベット仏教に触れ、日本各地の寺社仏閣をめぐるルネッサンスツーリズムもライフワークになっています。
諸行無常 四苦八苦 八正道 苦諦、集諦、滅諦、道諦 色、空、想、行、識 それぞれの意味を知ることは生きる術すべを知る深い見識となります。
難しいと思われるかもしれませんが日本人には親和性の高い教えばかりです。
人生観や自分軸を育む習慣は自らが求めないと、なかなか出逢えません。
そして本質に触れていると変な宗教団体や、妙なビジネスから身を守れます。
本当の教養とは人の心がわかることなのです。
松尾 一也
株式会社ルネッサンス・アイズ