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親子間における相続税対策は、一次相続だけでなく二次相続を見据えて考えることが重要です。その理由と二次相続を見据えて対策について解説していきます。

二次相続前に準備すべき税金対策

以上、一次相続が発生した際の、二次相続を見据えた遺産分割について紹介しました。この他にも、二次相続が発生する前に準備しておくべき、相続税対策があります。

 

[二次相続前の相続税対策]

・生命保険に加入する

・計画的に生前贈与する

・小規模宅地等の特例の適用要件を満たしておく

 

これから上記3つの二次相続対策について解説しますが、他にも考えられる相続税対策もあります。

 

■生命保険に加入する

二次相続の被相続人(遺された配偶者)が加入者や被保険者となり、法定相続人(子供)が受取人である生命保険に加入するのは、二次相続対策として有効です。

 

生命保険金(死亡保険金)には「非課税枠」が設けられており、非課税上限額までの価額は非課税財産として取り扱います(遺産総額から差し引く)。

 

[生命保険金の非課税枠]

500万円×法定相続人の人数

※受遺者は含まれません

 

分かりやすく言うと、現金資産等が多い場合、二次相続前に生命保険に加入しておけば、「500万円×子供の人数」の財産に対する相続税の節税ができます。二次相続の際の相続財産を減らす目的であれば、保険料を一括で支払う「一時払終身保険」が適しています。

 

ただし、近年はマイナス金利導入の影響で、一時払終身保険の取り扱い停止が相次いでいるため、生命保険を二次相続対策として活用する場合は十分注意をしましょう。

 

■計画的に生前贈与をする

二次相続の被相続人(遺された配偶者)が、子供や孫に計画的に生前贈与をしておけば、二次相続時の相続税の課税対象となる財産を減らすことができます。通常、財産を贈与すると贈与税が課税されますが、受贈者1人あたり年間110万円までの「暦年贈与」であれば贈与税は課税されず申告義務もありません。

 

ただし、法定相続人や受遺者に年間110万円までの暦年贈与をした場合、相続開始前3年以内の生前贈与財産は、相続税の課税対象となるので注意が必要です。

 

また、贈与する年数と1回あたりの金額を最初に決めてしまうと「連年贈与」とみなされ、年数に金額をかけた総額に対して贈与税が課税されることにも留意してください。贈与税や相続税が課税されないようにするには、「孫(法定相続人の子)」や「子供の配偶者(法定相続人の配偶者)」に贈与する、そして贈与の度に新たに契約するなどの対策が必須です。

 

また、年間110万円の暦年贈与の他にも、贈与には「教育資金の一括贈与」や「住宅取得資金等の贈与」などがあり、それぞれ贈与税の非課税枠が設けられています。

 

■小規模宅地等の特例の適用要件を満たしておく

二次相続の際に小規模宅地等の特例が適用できるよう、予め特例の適用要件を満たしておくことも二次相続対策として有効です。先述した通り、小規模宅地等の特例は「被相続人が宅地をどのように使用されていたのか」で名称が異なり、適用できる面積・減額割合・適用要件が異なります。仮に一次相続の際に子供が小規模宅地等の特例を適用できなくても、二次相続で適用できれば、宅地等の評価額を50~80%減額できます。

 

〇特定居住用宅地等(被相続人の自宅)

二次相続の被相続人の自宅は「特定居住用宅地等」に当てはまる宅地等となり、上限面積330㎡までの部分に関する宅地等の評価額を80%減額できます。法定相続人の属性によって居住要件や所有要件など異なりますが、二次相続までに「同居しておく」もしくは「二世帯住宅への立て替えや引っ越し」が検討できます。

 

ただし、住民票を移しただけ・週末だけ同居・泊まり込みでの介護は、同居とはみなされないため注意が必要です。

 

〇貸付事業用宅地等(貸付不動産)

二次相続の被相続人に現金資産が多いのであれば、賃貸不動産(賃貸マンションや駐車場)に資産を持ち替えて、貸付事業を行っておくのも二次相続対策となります。賃貸不動産であれば、小規模宅地等の特例の「貸付事業用宅地等」に該当するため、上限面積200㎡までの部分に関する宅地等の評価額を50%減額できます。

 

ただし平成30年の税制改正によって、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等については、貸付事業用宅地等の適用が除外されるので注意をしてください。

 

[相次相続控除もある]

相次相続控除とは、一次相続の発生から10年以内に二次相続が発生した場合、二次相続における相続税額から一定額を控除できる制度のことです。

 

ただし10年以内に相次いで相続が発生しないと特例が適用できないため、事前に準備できる相続税対策とは言えません。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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