いよいよ競売手続きが開始…強制退去までの流れ
競売手続きが開始すると、裁判所が競売に必要な情報を収集するため、執行官と不動産鑑定士が現地に向かい(後述しますが「現況調査」といいます)、対象となる不動産(競売物件)の権利関係はどうなっているか、どれだけの資産価値があるかなどを調査し、報告書を提出します。
裁判所は提出された報告書を基に、不動産の売却基準価格(競売で不動産を購入する際に目安となる価格のこと)を決定し、入札期間が決められます。入札期間とは、競売にかけられた不動産の購入を希望する人が競売に参加できる期間のことで、1週間〜1ヵ月の範囲で期間が定められます。この入札期間は、住宅ローンの借主である競売物件の所有者にも「期間入札通知書」という書面で知らされるとともに、裁判所の掲示板等に公告がされます。
入札期間が決まれば、競売物件の情報を裁判所が運営するウェブサイト「不動産競売物件情報サイト」(以下「BIT」)に公開し、広く競売の参加者を募ります。
このBITというサイトが曲者です。後述するようにこのサイトには、物件のプライバシー情報が記載されています。
購入希望者は裁判所が配布する入札書に購入を希望する金額を記入し、入札期間内に裁判所に提出します。入札期間が終了すると、あらかじめ決められた日(開札日)に、購入希望者が提出した入札書が開封され、いちばん高い金額をつけた人が買受人になります。
その後、裁判所は買受人に対し、競売物件の売却を許可するかどうかを審査したうえで、売却許可決定(あるいは不許可決定)を出します。ほとんどのケースで売却許可決定が出され、1週間の執行抗告期間中に、競売物件の所有者(住宅ローンの借主)など利害関係人に不服がなければ、売却許可決定が確定します。
売却許可が決定した買受人は、決められた日までに代金を納付することで、所有権を取得します。この時点で住宅ローンの借主から買受人へ競売物件の所有権が移転しますので、買受人の請求に応じて自宅を明け渡さなければなりません。買受人の請求に応じずにそのまま住み続けると不法占拠となり、強制的に退去させられることになります。要するに、買受人に追い出されてしまうのです。