コロナ禍で厳しさ増す「金融機関」支店とATMに閉鎖続出のワケ ※画像はイメージです/PIXTA

駐車場、金融機関、結婚式場、葬儀場…。コロナによる不動産物件への影響は、至るところに及んでいる。不動産市況アナリストの幸田昌則氏が、市場の変化について解説する。 ※本連載は、書籍『アフターコロナ時代の不動産の公式』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

コロナによる不動産への打撃は「駐車場」にも

新型コロナの感染拡大で外出を控える人が増え、駐車場需要は大きな打撃を受けた。駐車場大手のパーク24は、2020年6月に同年10月期の連結最終損益が255億円の赤字になりそうだと発表した(なお、2020年12月、466億5200万円の赤字であると発表。2021年6月には同年10月期の連結最終損益が95億円の赤字になりそうだと発表している)。

 

前期は123億円の黒字で、事前の予想は165億円の黒字で、1999年に東証2部に上場して以来、初めての最終赤字になると発表した。3月以降、マイナスに転じたということで、コロナ禍による外出自粛で、「車の移動が減少した」ことが響いたとしている。

 

その後、同社の業績は回復しているが、駐車場全体の需要は落ち込んだままの状態で、旅行や各種のイベントなどの外出機会が減少し、休日利用が冷え込んでいる。観光客が少なく、行楽地などの駐車場は空きが多い。

 

一方、「3密」を回避するための平日利用は、急速に回復している。東京都心部では、通勤での駐車場利用が増えている。感染リスクを嫌い、電車などの公共交通機関から、自家用車による移動へシフトする人が増えていることが背景にあるものと思われる。また、同じような理由で、自転車による通動も多くなっている。

 

テレワークやオンライン授業などが普及しており、外出の絶対人数は以前の水準に戻っているわけではなく、駐車場全体としては、依然として厳しい状況が統いている。経済活動のための自動車の利用も少なくなっていることから、通勤・通学による需要の下支えだけでは、駐車場の利用は限られ、立地によって明略が分かれている。

 

長距離の旅行は減少しているが、「GoToトラベル」を利用した近場への旅行を希望する人は少なくない。コロナ慣れして、近距離を自動車で旅行する人は少しずつ増加しており、駐車場の利用状況にバラつきが出ている。

 

駐車場の需要が本格的に回復するには、人々の移動に制限がなくなり、ビジネス・観光旅行が自由に行えるようになることが必要で、コロナ感染の終息を持つという受け身の状況が続くことになる。

 

なお、駐車場の立地条件によって、特来性が見込めないものについては、駐車場以外の利用目的も視野に、事業計画を考える時でもある。コロナ禍による事業環境の変化に、適切に対応していく柔軟さが業界に求められている。

ネットワーク88 代表 

福岡県出身。九州大学法学部卒。不動産市況アナリストとして、バブル崩壊以前の1989年に関西圏から不動産価格の下落を予測。現在、ネットワーク88を主宰、不動産業の経営、事業・営業戦略のアドバイスなどに活躍中。著者に『不動産これから10年のトレンド』『リクルート・江副浩正から学んだ「成長の経営哲学」』など多数。

著者紹介

連載アフターコロナ時代の不動産の公式

アフターコロナ時代の不動産の公式

アフターコロナ時代の不動産の公式

幸田 昌則

日本経済新聞社

新型コロナの感染拡大で、不動産市況も大変化。 アベノミクスによる異次元の金融緩和によって演出された不動産バブルは、すでにピークを過ぎていたものの、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大により、まったく違った局面…

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