※画像はイメージです/PIXTA

駐車場、金融機関、結婚式場、葬儀場…。コロナによる不動産物件への影響は、至るところに及んでいる。不動産市況アナリストの幸田昌則氏が、市場の変化について解説する。 ※本連載は、書籍『アフターコロナ時代の不動産の公式』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

金融機関店舗、結婚式場…「デジタル化の波」の影響

コロナ禍が契機となり、デジタル化の波がより実感できるようになってきた。その例の一つが、金融機関の街中の支店やATMの閉鎖・減少が顕著となってきたことである。数年前から、超低金利・マイナス金利などで金融機関の経営は厳しさを増し、社員数の大幅削減、店舗の統廃合、縮小計画は既定路線であった。証券会社も銀行同様に、デジタル化、ネット社会が進行することで「店舗」という空間を必要としなくなっている。

 

少子化や生涯(50歳時)未婚者数の増加などで、構造的に婚姻件数は減少傾向が続いているが、人生の節目として挙式する人は少なくなく、結婚式場は事業としては成立していた。

 

しかし、新型コロナウイルス感染拡大により、式場のキャンセルが続出し、事前に納付した費用の払い戻しのトラブルが発生した。その後は、オンラインによる結婚式という新しい方式も取られるようにはなったが、結婚式場の運営会社の業績は悪化してしまった。

 

その結果、不動産市場には「結婚式場」の売り物件が散見されるようになった。結婚式場の立地は、式の参加者を考えた都心や駅近もあれば、軽井沢などのリゾート地にもある。コロナウイルス感染の終息の目処が立たない状況から売りに走っている。

 

また葬祭場の運営も、コロナ禍で苦境に陥っている。葬儀もオンラインや少人数に絞った式を余儀なくされている。高齢者数の急増に伴い、死亡者数が出生数を大幅に上回って増加しているし、葬儀が将来的に増加していくことは確定しているが、経営的には多くの参列者は望めず、参加人数に合わせた効率化を図ることが求められている。2021年1月の段階では、葬祭施設の売却の話はまだ聞いていない。

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アフターコロナ時代の不動産の公式

アフターコロナ時代の不動産の公式

幸田 昌則

日本経済新聞社

新型コロナの感染拡大で、不動産市況も大変化。 アベノミクスによる異次元の金融緩和によって演出された不動産バブルは、すでにピークを過ぎていたものの、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大により、まったく違った局面…

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