※画像はイメージです/PIXTA

超高齢化社会とコロナショックが、不動産市場に与えている「大きな影響」について、不動産市況アナリストの幸田昌則氏が解説する。 ※本連載は、書籍『アフターコロナ時代の不動産の公式』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「経営者の高齢化」なぜ不動産への関心が高まるのか

産業界では、絶えず企業の新陳代謝が行われている。最近では、IT企業が次々と生まれ、一方では、宿泊業・飲食サービス業・アパレルなどの廃業が増加している。

 

事業環境の変化で、消滅していく企業も多いが、利益を出している企業でも、中小企業では経営者の高齢化による廃業・解散も少なくない(「東京商工リサーチ」データより)。

 

2019年は「70代」の経営者が全体の約4割と最も多かったが、60代以上で見ると、83.5%。中小企業の休廃業・解散は、経営者の高齢化や後継者の不在が要因と考えられる。

 

不動産市場では、この状況を反映して、中小企業が長年保有していた本社ビル・工場・店舗・土地などが売却されるようになってきている。目立つのは老舗企業で、好立地の不動産も少なくない。廃業や解散を機に、保有不動産を売却して社員の退職金に充てる例もある。保有不動産を有効活用して、賃貸オーナー業に転じて安定収入の道を選ぶ経営者も多い。

 

本業の衰退や経営者の高齢化に直面し、不動産を活用する姿勢が、不況期にはさらに強まることは過去何度も繰り返されている。経営者の高齢化が一段と進行する日本では、コロナショックがこの動きにより拍車をかける。

 

その結果、中小企業による不動産の売却が増え、その有効活用の動きが強まる。市場には追い風になるだろう。経営者の高齢化が、不動産の流動化を促進するのだ。

次ページ「壊す時代」の不動産市場で「期待できる事業」

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