※画像はイメージです/PIXTA

不動産市況アナリストの幸田昌則氏は、「超高齢化社会が不動産市場を活性化させる」と語る。 ※本連載は、書籍『アフターコロナ時代の不動産の公式』(日本経済新聞出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「人と建物の高齢化」が不動産市場にもたらす影響

今後、日本の不動産市場に大きな影響を与える構造要因として、高齢化社会の進行は無視できない。

 

最近の不動産・住宅の取引では、高齢者の存在感が一段と高まっている。売買については、売主の大半が高齢者であり、賃貸住宅の施主も高齢者が圧倒的である。不動産事業者は高齢者を主な顧客としなければ、業績の拡大は難しい。

 

ここでは、人間に加え、もう一つの「高齢化」にも言及したい。それは住宅・店舗・オフィスビルなど「建物の高齢化」問題である。

 

日本では、この七十数年間、平和な日々が続き、大量の住宅・ビルが供給され、蓄積されてきたが、建物は老朽化、すなわち高齢化が著しくなっている。建物の老朽化も、不動産市場で大きな問題として浮上している。

 

その意味では、人と建物という2つの高齢化が日本で急速に進行し、市場にもその影響が及んできている。

年々「存在感を増す高齢者」の実態

高齢者の絶対数が増加し続けていること、さらに高齢者の多くがセカンドハウスなど自宅以外の住宅を持っているだけでなく、賃貸アパートや土地など多くの不動産を所有していることで、市場に登場する機会が多くなっている。

 

また、預貯金などの資金も多く持っていて、多額の資金を必要とする不動産売買では、露出度が高くなるのは当然と言える。

 

まず、高齢者の絶対数は、2019年10月の時点で3589万人、全人口1億2600万人に占める割合は約3割となっている(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口〔。2017年〕」より)。人口減少が続く中で、2036年には33.3%となり、3人に1人が高齢者と試算されている。

 

いずれにせよ、人生100年時代を迎え、高齢者約3600万人が老後の「住生活や資金」に高い関心を持っていることから、市場に登場してくる可能性が高まっている。

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アフターコロナ時代の不動産の公式

アフターコロナ時代の不動産の公式

幸田 昌則

日本経済新聞社

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