(※写真はイメージです/PIXTA)

マンションの大規模修繕工事に必要な修繕積立金の不足は、本来あってはならないことですが、現実には多く起きている。ある調査によると実に3割弱のマンションで積立金不足であるという。それはなぜなのか、そして足りないことが判明したとき、どのような対策が考えられるのか。※本連載は、松本洋氏の著書『マンションの老いるショック!』(日本橋出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

平米単価が200円以上ないと修繕積立金が不足

そのために、国土交通省がマンション修繕積立金に関するガイドラインを公表して新築マンションの購入予定者に対し、修繕積立金に関する基本的な知識や修繕積立金の額の目安を示し、分譲事業者から提示された修繕積立金の額の水準等についての判断材料を提供するために、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を作成して公表したのです。

 

そのガイドラインでは、修繕積立金の算出方法が示されています。

 

Y=AX +(B)、要するに「修繕積立金=修繕積立金の平米単価×床面積」なのです。

 

マンションのその部屋の修繕積立金の平米単価が概ね200円以上でないと修繕積立金が将来不足するということです。

 

 

そのマンションに維持・管理にお金がかかる機械式駐車場があるとさらに(B)が加算されるということです。

 

このガイドラインは、主として新築マンションの購入予定者向けに、修繕積立金に関する基本的な知識や修繕積立金の額の目安を示したものですが、あわせて、分譲事業者から購入予定者に対し、修繕積立金の額の水準やその設定の考え方について説明することが重要となります。

 

新築マンションの購入予定者向けの計算式なので、築年数が経過したマンションでは、平米単価が300円になることや500円以上になることがあります。

 

私の経験では、築年数が経過したマンションでも平米単価が200円に満たないマンションが多くあります。

 

 

■修繕積立金の見直し

 

修繕積立金の見直しの「はじめの一歩」としての長期修繕計画の見直しをすることが必要となります。

 

そこで平成20年に国土交通省から、長期修繕計画の作成、又は見直しをするための標準的な様式「長期修繕計画標準様式」と併せて、長期修繕計画の基本的な考え方と標準様式を使用しての作成方法を示した「長期修繕計画ガイドライン・同コメント」(以下「ガイドライン」という。)が公表されました。

 

この、「長期修繕計画ガイドライン」が公表された背景には、これまでマンションの事業主がマンション販売時に作成したもの、管理会社が作成したもの、マンション管理士や建築士が作成したものなど、作成者ごとに様式が異なっていたということがあります。

 

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マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

マンションの老いるショック!データから学ぶ管理組合運営

松本 洋

日本橋出版

分譲マンションは現在、「区分所有者の老い」「建物設備の老い」という二つの老いの問題を抱えています。 本書では、国土交通省から公表されているデータや、筆者のマンション管理士としての経験から得た知識を基に「マンシ…

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