誰が総会に出席して議決権を行使できるか
■組合員の総会出席の要件
大規模修繕工事や修繕積立金の改定等を決議する「総会」について考えてみましょう。
誰が総会に出席して議決権を行使することができるのかが規約に規定されています。
住戸1戸が数人の共有に属する場合、その議決権行使については、これら共有者をあわせて一の組合員とみなす。(規約第46条第2項)前項により一の組合員とみなされる者は、議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。(規約第46条第③項)としています。ですから、理事長に届け出のあった組合員に総会資料を送付することになります。
法人の組合員の総会での議決権行使ですが、組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。(規約第46条第4項)ですからその法人の代理権限者(法人が指定した者)に総会資料を送付することになります。
ちなみに規約第35条関係コメントでは、法人が区分所有する専有部分があるマンションにおいて、法人関係者が役員になる場合には、管理組合役員の任務に当たることを当該法人の職務命令として受けた者に限定する等どのような資格を有する者が実際に役員業務を行うことができるかについて、あらかじめ規約や細則に定めておくことが望ましい、とされています。
管理組合役員の任務に当たることを当該法人の職務命令として受けた者等を選任することが一般的に想定されています。
■監査報告書の作成
理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならないことが規定されています。(規約第42条第3項)最近は新会計年度開始以後3か月以内に総会を開催することを規定しているマンションも多くなりました。
いずれにしても、短い期間ですので、業務監査、会計監査を行うのは容易なことではありません。監事は管理組合運営を公平にクリーンに行うための重要な役割を担っています。それゆえ平成28年3月の規約改正で監事の権限が強化され責任も大きい大変重要な役職になりました。
大規模マンションの管理組合の会計の証憑や監査資料は膨大な量になるので、監事を二名体制にしたり、四半期毎に監査を実施したりしているマンションも少なくありません。四半期毎に監査することで不明な点があった場合には理事会に出席したときに不明点をヒアリングして判断することもできますし、改善を要求することが可能になります。
業務監査では、事業計画に基づいて事業が行われているのか、作業が実施され完了しているのか等の事実を確かめることや、法定点検や指摘事項の改善工事が完了されているか等確認します。会計監査では、当期予算と当期実績を照合することや未収金の督促などが行われているか、領収書から求めた支払金額と収支報告書に記載されている支出金額と貸借対照表の資産計上額が一致するのか、証憑突合し、支出の合理性を確認する作業を行います。
監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。(規約第41条)と規定はありますが、監査報告書の書式についての規定はありません。総会の監査報告書は、管理会社が提示したものを使わなくても問題はありません。多くの場合、持ち回りの監事による監査報告は形骸化しています。
むしろ、監事がどのように監査をしてその結果、どのような問題点や課題点、改善点が見つかったかといった報告書管理会社が作成した定型のヒナ型の監査報告書ではなく、ご自分の言葉で作成することが正しい監査報告書であると思料します。