会社が倒産に至るリスクは想像以上に高いということをご存じでしょうか。巷には「企業の寿命30年説」という言葉があり、確かに創業30年以上の会社もたくさん存在しますが、実際はそれらの何十倍を超える会社が廃業に追い込まれているのです。そもそも企業は何年間存続できるものなのか。潰れる会社・潰れない会社の違いとは何か。税理士の筆者が解説します。

実は「潰れた会社」の約5割が黒字倒産

では倒産する会社のうち、赤字の会社はどれくらいだろう?

 

東京商工リサーチのデータを見ると、コロナ禍で揺れた2020年に倒産した会社は7773件。このうち、倒産直前の決算が最終赤字だった会社は53.2%。

 

…最終赤字だった会社は53.2%だけ。

 

「あれ?」と思うよね。

 

もう一つ、同じ調査からデータを紹介する。2020年に倒産した会社のうち、債務超過に陥っていた会社は56.4%だった。

 

債務超過は、貸借対照表(BS)において、会社が抱えている負債(借入金や買掛金など)の額が、資産(売掛金など)の額を上回っている状態のこと。

 

…債務超過に陥っていた会社は56.4%。

 

これも「あれ?」と思うはず。

 

倒産というと、赤字が膨らみ、借金が返せなくなって起きる、というイメージを持つ人が多い。

 

倒産関連のニュースも、「赤字が何億円だった」「負債が何億円もかさんでいた」といった報じ方をすることが多い。

 

でも、データを見る限りでは、そうとはいえない。

 

倒産した会社のうち、倒産直前の決算が赤字だった会社も、債務超過に陥っていた会社も、それぞれ半分くらい。残りの約半分は、黒字であり、負債よりも資産のほうが多かった。

 

このことから分かるのは、会社は赤字や負債が原因で倒産するわけではないということ。

「赤字は危ない」「負債は怖い」という大きな誤解

実際、世の中を見渡してみると、赤字でも潰れない会社はある。大手企業で負債がない会社など皆無と言っていい。

 

例えば、日産自動車はコロナの影響などで約4487億円の赤字を出している(2021年3月期)。

 

旅行業界、外食、百貨店などもコロナの影響が大きく、ANAは4046億円の赤字(2021年3月期)。でも、潰れない。

 

一方、コロナ禍でもしっかり業績を伸ばしたのがマック(日本マクドナルド)。2020年の業績は純利益が2割増以上。しかも、過去最高の売上を出している。貸借対照表はどうか。500億円以上の負債がある(2020年12月期)。

 

ユニクロのファーストリテイリングだって約1.5兆円の負債がある(2020年8月期)し、トヨタ自動車は30兆円の負債(2020年3月期)がある。

 

でも、潰れない。マックもユニクロもトヨタも、負債があるからといって来年潰れると思う人はいないと思う。

 

赤字は危ない? 負債は怖い? そう思い込んでいるとしたら、その誤解を捨てることが真の経営への第一歩だ!

次ページ潰れる会社、潰れない会社の決定的差は…

※本連載は、菅原由一氏の著書『激レア 資金繰りテクニック50』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

激レア 資金繰りテクニック50

激レア 資金繰りテクニック50

菅原 由一

幻冬舎メディアコンサルティング

受講者数は延べ7000人! 資金繰り専門税理士のセミナー講義内容をついに書籍化。 会社の生存力を高めるには、負債がないことや黒字経営であることよりも、手元に資金がいくらあるかということが重要です。 たとえ黒字経…

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