実は「潰れた会社」の約5割が黒字倒産
では倒産する会社のうち、赤字の会社はどれくらいだろう?
東京商工リサーチのデータを見ると、コロナ禍で揺れた2020年に倒産した会社は7773件。このうち、倒産直前の決算が最終赤字だった会社は53.2%。
…最終赤字だった会社は53.2%だけ。
「あれ?」と思うよね。
もう一つ、同じ調査からデータを紹介する。2020年に倒産した会社のうち、債務超過に陥っていた会社は56.4%だった。
債務超過は、貸借対照表(BS)において、会社が抱えている負債(借入金や買掛金など)の額が、資産(売掛金など)の額を上回っている状態のこと。
…債務超過に陥っていた会社は56.4%。
これも「あれ?」と思うはず。
倒産というと、赤字が膨らみ、借金が返せなくなって起きる、というイメージを持つ人が多い。
倒産関連のニュースも、「赤字が何億円だった」「負債が何億円もかさんでいた」といった報じ方をすることが多い。
でも、データを見る限りでは、そうとはいえない。
倒産した会社のうち、倒産直前の決算が赤字だった会社も、債務超過に陥っていた会社も、それぞれ半分くらい。残りの約半分は、黒字であり、負債よりも資産のほうが多かった。
このことから分かるのは、会社は赤字や負債が原因で倒産するわけではないということ。
「赤字は危ない」「負債は怖い」という大きな誤解
実際、世の中を見渡してみると、赤字でも潰れない会社はある。大手企業で負債がない会社など皆無と言っていい。
例えば、日産自動車はコロナの影響などで約4487億円の赤字を出している(2021年3月期)。
旅行業界、外食、百貨店などもコロナの影響が大きく、ANAは4046億円の赤字(2021年3月期)。でも、潰れない。
一方、コロナ禍でもしっかり業績を伸ばしたのがマック(日本マクドナルド)。2020年の業績は純利益が2割増以上。しかも、過去最高の売上を出している。貸借対照表はどうか。500億円以上の負債がある(2020年12月期)。
ユニクロのファーストリテイリングだって約1.5兆円の負債がある(2020年8月期)し、トヨタ自動車は30兆円の負債(2020年3月期)がある。
でも、潰れない。マックもユニクロもトヨタも、負債があるからといって来年潰れると思う人はいないと思う。
赤字は危ない? 負債は怖い? そう思い込んでいるとしたら、その誤解を捨てることが真の経営への第一歩だ!