「ひざを支える筋肉」をきたえて痛みを軽減
初期~進行期の場合の治療として、保存的治療の1つである「運動療法」を説明していきます。
運動によって病気や機能障害の改善、回復を目的に行うのが運動療法で、ひざ痛においては基本となる治療法です。
変形性膝関節症になって痛みが出てくると、足を動かさなくなりがちです。しかし、足を動かさないでいるとひざの周りの筋力が低下し、関節の安定性が悪くなります。すると、ますますひざに負担がかかって痛みが強くなるという悪循環に陥ります。こうした負のスパイラルを断ち切るためにはひざの周りの筋肉、なかでもひざを伸ばすときに働く大腿四頭筋(太ももの筋肉)を鍛えてひざへの負担を軽減することが大切です。
もちろん痛みが出ているときには無理に行う必要はありませんが、比較的痛みの軽い初期から進行期はひざの状態に合わせた運動療法を行うことが進行の予防につながります。
そこで、医師や理学療法士の指導のもと、筋力を強化する体操などを行います(図表1~3)。
運動療法に期待できる効果として、次のようなものが挙げられます。
●痛みによって緊張した筋肉をほぐす
●痛みや緊張で硬くなっている関節の可動域を広げる
●血行を促進する
●痛みをきっかけに低下した筋力を向上させる
●運動機能を回復させる
●体重を減少させる
この3種類の運動は20回を1セットとして、朝に3セット、夕方に3セットを行うことを基本としています。一度にかかる時間は、朝夕それぞれ15分ほどになります。これらの運動は横になったまま、座ったままで行うため、ひざに負担がかかりにくいうえ、テレビを見ながらでもできますので、少しの隙間時間に行いましょう。
もちろん、症状や痛みに応じて少ない回数から始めてもかまいません。続けることを目標にしていきましょう。
松田 芳和
まつだ整形外科クリニック 院長
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