「片手で荷物を持つ人」は要注意…ひざを痛める意外な生活習慣【整形外科医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

40歳を超えた頃から、ひざの痛みを訴える人が増えてきます。しかし「年齢のせいだから仕方ない」と甘く見てはいけません。ひざの痛みを我慢したり放っていたりすると、徐々に生活で不自由なことが生じ、最終的には「寝たきり」を余儀なくされる恐れすらあるのです。健康寿命を伸ばすために知っておきたい、ひざを守るためのちょっとした工夫を見ていきましょう。

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寝たきりを予防するには「ひざの健康」が重要

近年、医療現場では「予防医学」という概念が認知されるようになってきました。病気になってから治療を始めるのではなく、病気になる前に不調を発見して適切な対処を施すことで、病気を未然に防ぐという考え方です。

 

皆さんも年に1回は人間ドックや、会社あるいは自治体による健康診断を受けていることと思います。しかし、運動器に関する健康診断を受けたことがあるでしょうか。小学生の頃には体力測定もありましたが、成人してからはそういう機会がなくなっています。

 

運動器のなかでも「ひざ」は日常動作の要になるため、痛めるとQOLを低下させ、健康寿命を縮めるリスクを高めてしまいます。

 

今は自覚症状がなくても、加齢とともに症状が現れてきたり、無理な活動を続けてリスクを負ってしまうこともあります。ですから症状がなくても、折に触れてひざの状態を知っておくことは、健康に年を重ねていくためにも大切なことなのです。

 

ところが、残念ながら「これぐらいの症状なら」と自己判断で痛みを我慢し、適切な治療を先延ばしにして、ひざの変形が進行してから受診する人が少なくありません。

 

そこで、私が取り組んでいるのが「ひざドック」です【図表】。ひざの異常を早期に発見して早期に治療を始めることが、「変形性膝関節症」(ひざ痛を生じる病気として最も多い)をはじめとするひざ疾患の進行を防ぐとともに、ひざ寿命を延ばすことにつながると考えているからです。

 

【図表】ひざの健康チェックシート

 

早期で発見するには、ひざに症状のないうちに、または違和感をもった段階でMRIによる精査を受けることで発見率が上がります。早期の変形性膝関節症はX線写真だけでは異常を発見することができません。

 

何より早期に異常を発見できれば、治療の選択肢が多くなりますから将来的にひざ疾患を予防して手術に至ることなく、自分自身のひざを温存して日常生活を続けることができるようになります。

 

厄介なことに変形性膝関節症は初期の場合、たとえ痛みはなくても関節内では変化が生じていることが多々あります。また、無自覚で進行しているケースもありますので、50歳を過ぎたら定期的に「ひざドック」も受けることをお勧めします。

ひざ寿命を伸ばす「何気ない動作」の工夫

日常生活における何気ない動作でも、繰り返し行ったり長時間続けたりすることで、ひざにかかる負担は大きくなります。変形性膝関節症は加齢だけではなく、生活習慣や環境も影響しているため、ひざの曲げ伸ばしを頻繁に行うような生活スタイルは、知らないうちにひざにダメージを与えることとなります。

 

また、再生医療によってひざの状態が改善しても、無理を続ければ再びひざを痛める可能性もあります。なぜなら、ひざを痛める生活習慣を知らないうちに続けていた結果、変形性膝関節症を発病したケースも少なくないからです。

 

そこで、ひざを守るうえでも普段の生活習慣や環境を見直してみましょう。少し意識するだけでひざへの負担を減らすことができますので、次に挙げる項目を参考にしてひざ寿命を延ばす取り組みをしていただきたいと思います。

〈生活環境の見直し〉

●洋式トイレを使う

和式の生活スタイルは、洋式に比べてひざにかかる負担が大きくなりがちです。特に和式トイレは、ひざを深く曲げてしゃがむため、ひざに体重がかかり続けます。

 

最近は洋式トイレが主流となり和式トイレはあまり見かけなくなりましたが、外出した際に利用する公衆トイレには和式トイレが残っているところがあります。そういう場合は和式トイレを避け、なるべく洋式トイレを利用するようにしましょう。

 

●正座を避けて椅子を使う

正座もひざを深く曲げるので体重がひざにかかるうえ、立ち上がるときにも椅子に比べて高低差があるだけに負荷が大きく、よろけて余計にひざを痛めることにもなりかねません。

 

正座での生活スタイルは避け、椅子に座る生活環境に改善すると良いでしょう。椅子に座ると、立ち上がるときにテーブルに手をつけるのでひざの負担も軽くなります。

 

●ベッドを使う

布団では立ち姿勢から横になるまでに、どうしてもひざを深く曲げる動作が生じます。また、布団を上げ下げするときにも、体重に加えて布団の重さもひざにかかってきます。ですからベッドを使うようにすると、しゃがみ込む動作がなくなって起き上がりもラクになります。

〈普段の動作の改善〉

●階段はひざの状態を把握したうえで利用する

ひざの痛みがそれほどひどくない場合は、これから先もひざの悪化を防いで筋力も維持していくためにも、普段の生活でエレベーターやエスカレーターを使わずに階段を利用して筋力を落とさないようにすることが大切です。これによって日常生活動作(ADL)も維持できるからです。

 

しかし、すでにひざの状態が悪化して筋力も衰え、杖を使っている場合には、ひざの悪化を防ぐうえでも階段よりエスカレーターやエレベーターを利用したほうが良いでしょう。

 

階段を使う際は、手すりをしっかり持って体重を支えるようにしましょう。特にひざの痛みがひどいときには、上るときは痛みのないほうの足から、下りるときには逆に痛むほうの足から一歩目を出すようにするとラクになります。

 

●荷物は左右均等に持つ

荷物を持つときは、ほとんどの人が左右どちらかの手に持ったり、片方の肩ばかりにバッグを掛けています。これでは重心が偏って体のバランスが崩れ、ひざを痛める原因にもなります。荷物を持っているときは、ときどき持ち替えて負担が偏らないように意識しましょう。

 

荷物が複数あるときには、重さが均等になるよう左右に分けて持ったり、重くなりそうなときにはキャリーバッグやリュックサックを活用すると便利です。

 

●立ったり、しゃがんだりする動作はゆっくりと行う

突然ガバッと立ち上がったり、急に座ったり、歩いている途中で急に止まるといった“急激な動作”は、ひざへの負担が大きくなります。立ったり、しゃがんだりといった動作は、ゆっくりと行うようにしましょう。

 

●立ちっぱなしで作業をするときは…

調理などで長時間立ちっぱなしになるときは、足元に低い台を置いて片足を乗せたり、椅子に腰かけて作業を行うとラクになります。

 

 

松田 芳和

まつだ整形外科クリニック 院長

 

 

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まつだ整形外科クリニック 院長 

1994年、富山医科薬科大学(現富山大学)の医学部卒業。アメリカでの研修・留学を経験。

2006年には膝専門医が選ばれるJohn. Insallトラベリングフェローに、アジア・環太平洋代表として選出(当時日本人として2人目、世界では毎年4名)。

2007年には日本整形外科学会代表としても選出される(毎年1名)。

2010年に医療法人社団nagomi会を設立し、当法人の理事長を務めるとともに、日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師ジョガーズ連盟所属ランニングドクター、埼玉県ラグビー協会メディカル委員、一般社団法人健康スポーツ研究会会長など多くの役職に就く。

2020年からは城西大学薬学部客員教授に就任。国内外の学会発表、論文多数あり。

著者紹介

連載ひざ革命~最期まで元気な歩行を可能にする再生医療

※本連載は、松田芳和氏の著書『ひざ革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

ひざ革命 最期まで元気な歩行を可能にする再生医療

ひざ革命 最期まで元気な歩行を可能にする再生医療

松田 芳和

幻冬舎メディアコンサルティング

ひざ痛の予防から再生医療まで。 人生100年時代を豊かに生きるための「ひざ寿命」の延ばし方を徹底解説。 昨今、「健康寿命」の重要性が問われています。 人生100年時代といわれて久しいですが、その生活の質を左右す…

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