ひざの痛みに効く「手術以外」の治療方法【整形外科医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

40歳を超えた頃から、徐々にひざの痛みを訴える人が増えてきます。ひざ痛の原因として最も多いのは「変形性膝関節症」で、潜在的な患者は約3000万人にのぼるとも…。ひざの痛みは、放置すれば歩行困難にもなりかねない危険な症状です。寝たきりを回避するためにも早めに治療を始めなくてはいけません。いざというときに適切な治療を受けられるように、本稿にてひざ痛の初期~進行期に行われる「手術以外の治療方法」の例を知っておきましょう。

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温熱や電気、レーザーで痛みを和らげる「物理療法」

物理療法とは、温熱、電気、光線(赤外線・レーザーなど)といった物理的な刺激を患部に加えることで、血流の改善、炎症や疼痛(とうつう〔ズキズキする痛み〕)の緩和、関節や筋肉の柔軟性の向上を目的に行う治療法をいいます。

 

急性の痛みのときには患部を冷やすのが基本ですが、膝関節の軟骨がすり減っていき、膝関節がしだいに変形していく「変形性膝関節症」の場合は慢性的な痛みのため、ひざを温める方法をとります。これによってひざの血行が良くなることで発痛物質が除去されて痛みが和らいだり、関節や筋肉を動かしやすくなります。

 

また、物理療法を受けていると気持ち良くなることから、心理的なリラクゼーション効果も期待されています。

 

●温熱療法

患部を温めることで関節や筋肉の硬さをほぐし、収縮した血管を緩めて血行を良くします。これには、80℃前後に温めたパックをタオルで包んで患部に当てるホットパックなどがあります。

 

しかし、この方法では体の表面を温めることはできても、深部まで温めることはできません。また、患部が炎症を起こしているときには、温めることで痛みが増す場合があるので注意が必要です。

 

●電気刺激療法

ひざ周囲の筋肉に電気を流し、筋肉の収縮による血行改善で痛みを和らげます。これには超音波、低周波、干渉波などを患部に当てる方法があります。

 

●光線療法

痛みのある部分にレーザーや遠赤外線を照射して痛みを鎮めます。

 

ひざの負担を分散させる「装具療法」

変形性膝関節症の患者さんの多くは、内側か外側のどちらか一方の軟骨がすり減っており、O脚やX脚になっています。このような状態では、体重や日常の動作でかかる荷重によって内外どちらか一方の軟骨がすり減りやすくなるので、さらに変形性膝関節症が悪化していきます。

 

そこで、体重が伝わる軸を補正し、ひざにかかる負担を分散させることでひざを安定させ、痛みの軽減を図る目的で装具を用いた装具療法を行うことがあります。

 

これにはひざの動きを安定させるひざ装具やサポーターなどがありますが、効果的でよく用いられるのは「足底板(そくていばん)」を使った方法です。足底板とは、傾斜をつけてひざにかかる負荷を調整する靴の中敷きに似た医療装具のことで、インソールともいわれています。

 

例えば、O脚になってきた場合はひざの内側の軟骨がすり減っていくため、バランス良く体重を支えられるように、足の外側が厚くなっているインソールを使用します。これによって体重が内側の膝関節にかかるのを防いでひざにかかる重心軸のズレが改善するので、ひざに負担をかけない歩き方ができるようになります。

 

このインソールは変形性膝関節症に用いられるだけではなく、体のバランスを整えることからパフォーマンスが上がるとしてトップアスリートも使用しています。

 

インソールは変形性膝関節症の初期や中期に限らず、末期でも手術ができる状況ではなかったり、受けたくなかったりする患者さんは試していることが多く見られます。

 

インソールは市販のものもありますが、足の形状や負担が集中している部位は人によって異なります。自分の特性に合ったインソールを使わなければ効果を得られないばかりか、逆にひざを痛めることもあります。そのため、ひざのことを熟知している資格をもった専門家に、自分の足と靴に合ったオーダーメイドのインソールをつくってもらうことが大切です。インソールを希望する場合は自己判断で使用せず、医師や理学療法士に相談して信頼できる専門家につくってもらうようにしましょう。

 

ちなみに私のクリニックでは、入谷式インソールを使用しています。インソールは靴の形によって違ってくるため、1つをつくって別の靴に入れ替えるといった使い回しはできません。

まつだ整形外科クリニック 院長 

1994年、富山医科薬科大学(現富山大学)の医学部卒業。アメリカでの研修・留学を経験。

2006年には膝専門医が選ばれるJohn. Insallトラベリングフェローに、アジア・環太平洋代表として選出(当時日本人として2人目、世界では毎年4名)。

2007年には日本整形外科学会代表としても選出される(毎年1名)。

2010年に医療法人社団nagomi会を設立し、当法人の理事長を務めるとともに、日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師ジョガーズ連盟所属ランニングドクター、埼玉県ラグビー協会メディカル委員、一般社団法人健康スポーツ研究会会長など多くの役職に就く。

2020年からは城西大学薬学部客員教授に就任。国内外の学会発表、論文多数あり。

著者紹介

連載ひざ革命~最期まで元気な歩行を可能にする再生医療

※本連載は、松田芳和氏の著書『ひざ革命 最期まで元気な歩行を可能にする再生医療』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

ひざ革命 最期まで元気な歩行を可能にする再生医療

ひざ革命 最期まで元気な歩行を可能にする再生医療

松田 芳和

幻冬舎メディアコンサルティング

ひざ痛の予防から再生医療まで。 人生100年時代を豊かに生きるための「ひざ寿命」の延ばし方を徹底解説。 昨今、「健康寿命」の重要性が問われています。 人生100年時代といわれて久しいですが、その生活の質を左右す…

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