「ウォーキング1日1万歩」より「1駅分歩く」が正解!ひざを痛めないための運動【整形外科医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

40歳を超えた頃から、徐々にひざの痛みを訴える人が増えてきます。ひざ痛の原因として最も多いのは「変形性膝関節症」で、潜在的な患者は約3000万人にのぼるとも…。つい「年齢のせい」と放置しがちですが、ひざの痛みは放置すれば歩行困難にもなりかねない危険な症状です。寝たきりに発展しないためにも、本稿でひざの痛みを防ぐ方法を見ていきましょう。

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「太ももの筋トレ」と「適度な運動」でひざ痛を予防

ひざ痛を予防するには、特にひざを伸ばすときに働く大腿四頭筋(太ももの筋肉)を鍛えることと、適度に運動することが大切です。これが、変形性膝関節症の進行を防ぎ、ひざを守ることにもつながります。

 

もちろん炎症や痛みなどの症状が現れているときはコントロールが必要になりますが、歩いて動かして、普段通りの生活を続けることがひざ寿命を延ばす基本となります。

 

それには、ひざ痛治療の基本となる運動療法を続けながら、さらにウォーキングなどの有酸素運動を習慣にすることが効果的です。

実は、ウォーキング「1日1万歩」は逆効果

■ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れる

ウォーキングは、大腿四頭筋をはじめとする足の筋肉全体を使うことで筋力が強化し、これが膝関節を守る自然のサポーターとなるだけではなく、生活習慣病を予防するなど全身への影響も期待できます。

 

ウォーキングのように酸素を取り入れながら行う運動を「有酸素運動」といって、これは全身の血行を良くする、血管の老化を防ぐ、心肺機能を高める、余分な脂肪を燃やして筋肉をつけるといった効果をもたらすからです。このような全身への影響が、変形性膝関節症の原因となっている加齢による機能低下を防いだり、肥満の解消にもつながります。

 

以前はウォーキングというと1日1万歩が目標とされていましたが、最近の研究では1万歩も歩くと逆に故障するリスクが高いといわれるようになりました。ですから無理をせず、体調の悪いときは休んでストレッチをするなどして、最初は時間も距離も短く、体力や筋力がついてきたら徐々に時間も距離も伸ばしていき、最終的には6000~8000歩を目安に歩きましょう。

 

ウォーキングに限らず運動療法は、長く続けることが大事なため、毎日がきつい人は1日置きでも良いでしょう。また、勤めがある人は会社の行き帰りに利用する駅の1つ前で下車し、1駅分を歩くといった工夫をすれば続けられるのではないでしょうか。

 

ウォーキングの際には、ひざを守る意味でもクッション性の高いウォーキングシューズを履くことをお勧めします。そして、歩くときは姿勢も大切で、特に年配者は背中を丸めて骨盤が後ろに傾いているケースが多いので、少し前傾姿勢で腕を後ろに大きく振ると背すじを伸ばしやすくなります。

 

運動として負荷をかけるためには、普段の歩きよりも少し速度を上げて前に足を振り出すのではなく、後方への蹴り出しを意識しましょう。

■「水中運動」や「自転車こぎ」もオススメ

ウォーキングのほかに水中運動や自転車こぎも、有酸素運動のなかではひざに負担をかけない有効な運動です。水中運動の場合は、浮力によってひざへの負担が軽くなります。

 

さらに、水の抵抗力が働くので地上と同じことを行っても呼吸量が多くなる分、持久力がアップしたり脂肪を燃やしたり、心肺機能を高める効果がより得られます。自転車こぎも、膝関節にかかる力が弱いので変形性膝関節症の人が始めるにはお勧めです。

 

※東京都健康長寿医療センター研究所運動科学研究室長 青栁幸利『やってはいけないウォーキング』(SB新書)

「ウォーキング後」のストレッチで疲労軽減

体が温まっていないなかで、急に歩き始めると体を痛めてしまったり、違和感が生じてしまうことがあります。ウォーキングは全身を使う運動なのでしっかりと準備体操を行うことが重要です。準備運動を行うことで、歩きがスムーズになり、ケガの予防にもつながります。

 

また、ウォーキング後にもストレッチを行うことで疲労の軽減にもなります(図表1~3)。ストレッチは基本的に反動をつけずにゆっくりと行うのがポイント。また、痛みのない範囲で行うことで筋肉が伸びていきます。痛い強度まで行うと力が入ってしまうので、むしろ痛めてしまう可能性があります。

 

[図表1]ウォーキング後に行うと良いストレッチ アキレス腱伸ばし

 

[図表2]ウォーキング後に行うと良いストレッチ 太もも伸ばし

 

[図表3]ウォーキング後に行うと良いストレッチ 背伸び

「ひざ伸ばし」でひざの筋肉を強化

■ボールやタオルを挟みながら「太ももの内側」を筋トレ

ひざを伸ばす大腿四頭筋の筋力強化運動は重要ですが、なかでも内側広筋(ないそくこうきん)という太ももの内側の筋肉を強化することが重要となります。また、ひざ伸ばし運動の際に、O脚の人は足が外に向いてしまう傾向にあるため、内側広筋を鍛えることはO脚の予防にもなります。

 

そこで効果的なのが、ボールやタオルを挟みながらひざを伸ばす運動です。挟むことで内側広筋に力が入りやすくなり、足が外側に向くことを防げます。

 

ひざ伸ばし運動の際には体が後ろに傾かないこと、ひざをしっかりと伸ばすこと、体が丸まらないことに注意して行いましょう。

 

<ひざ伸ばし運動>

①椅子やベッドに腰掛けます(体が丸まらないよう注意)

②太ももの間にボールやタオルを丸めたものを挟みます

③挟んだまま落とさないようにひざを伸ばします

④伸ばしたまま5秒間キープします(このとき、太ももの内側の筋肉を意識すると効果的)

⑤これをゆっくり行うと筋肉への刺激が増加します

■そもそも「ひざ裏の筋肉が硬い人」はコレ

ひざを伸ばしたくても、ひざ裏の筋肉が硬いとうまく伸ばせません。硬い状態で頑張ってひざを伸ばすトレーニングをすると痛めてしまうことがあります。

 

ひざ裏の筋肉を伸ばすストレッチをしてからトレーニングをしましょう。

 

<ひざ伸ばしストレッチ>

①床やベッドで足を伸ばして座ります

②タオルを足にかけて引っ張り、足首をそらします(足首をそらしたまま体を曲げていくと、ふくらはぎ、ひざ裏、もも裏に伸びる感覚が生じます)

③この状態で、息を止めないように30秒程度ゆっくり伸ばしていきます

④左右30秒×3回ずつ行います(これを朝晩行うと効果的)

■ひざを痛めることも…「間違ったスクワット」に要注意

大腿四頭筋を鍛えるトレーニングで誰もが手軽にできるのがスクワットです。しかし、ひざが弱っていたり痛みのある人は捻る動作が弱いので、しゃがみ込むときにひざを捻りやすく、かえってひざを痛めることが多いのです。

 

スクワットは、やり方を間違えると逆効果になるため、理学療法士など専門家の指導を受けて正しい方法で行うようにしましょう。

 

ひざへの負担が少ない軽いスクワットとしては、壁にもたれて行う方法があります。

 

<ひざに負担をかけないスクワット>

①足を腰の幅くらいに開き、壁に背を向けて立ち、そのまま壁にもたれかかります

②背中を壁につけたまま、ゆっくりとひざを曲げて腰を落とします。ひざが30度くらい曲がったところで5~10秒キープ。これを3~5回繰り返します。

 

 

松田 芳和

まつだ整形外科クリニック 院長

 

 

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まつだ整形外科クリニック 院長 

1994年、富山医科薬科大学(現富山大学)の医学部卒業。アメリカでの研修・留学を経験。

2006年には膝専門医が選ばれるJohn. Insallトラベリングフェローに、アジア・環太平洋代表として選出(当時日本人として2人目、世界では毎年4名)。

2007年には日本整形外科学会代表としても選出される(毎年1名)。

2010年に医療法人社団nagomi会を設立し、当法人の理事長を務めるとともに、日本整形外科学会専門医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師ジョガーズ連盟所属ランニングドクター、埼玉県ラグビー協会メディカル委員、一般社団法人健康スポーツ研究会会長など多くの役職に就く。

2020年からは城西大学薬学部客員教授に就任。国内外の学会発表、論文多数あり。

著者紹介

連載ひざ革命~最期まで元気な歩行を可能にする再生医療

※本連載は、松田芳和氏の著書『ひざ革命』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

ひざ革命 最期まで元気な歩行を可能にする再生医療

ひざ革命 最期まで元気な歩行を可能にする再生医療

松田 芳和

幻冬舎メディアコンサルティング

ひざ痛の予防から再生医療まで。 人生100年時代を豊かに生きるための「ひざ寿命」の延ばし方を徹底解説。 昨今、「健康寿命」の重要性が問われています。 人生100年時代といわれて久しいですが、その生活の質を左右す…

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