注目はやはりファーストリテイリングの動向
前回の続きです。
⑤テーマ【小売】
株価動向を探る上でも、小売業各社の月次動向は重要な指標となります。
投資家の間で特に関心が高いのは、「ユニクロ」や「GU」を運営するファーストリテイリング(9983)です。日経平均株価への寄与度が10%前後と一番高く、同社の値動きが日経平均の動向を左右する日も少なくありません。そのため、月次売上高を発表する企業の中でも、特に注目度が高くなっています。
●小売店売上高
ファーストリテイリング 国内ユニクロ売上情報
エービーシー・マート 月次情報
ユナイテッドアローズ 月次売上概況
百貨店各社 月次動向
ファーストリテイリングに投資する前に確認するのはもちろんのこと、同業他社の銘柄選びの参考として確認するのもお勧めです。
ユニクロは日本全国に店舗を展開しているため、全国的な売上動向をつかむ意味でも注目できます。月次動向からは、消費者の志向、季節要因や天候の影響など、アパレル業界に与える様々な影響をいち早く情報収集することができます。
たとえば、売上高が横ばいなのに来店者数が減少していれば、客単価が伸びている、つまり高価格帯が売れて節約志向が弱まっている、などと読み解くことができます。
また、夏に気温が低いと夏物販売に苦戦、秋に気温が例年より下がると秋冬物の売れ行きが好調になるなど、売上に直結するヒントを得ることができます。
そして、前述したように、ファーストリテイリングは日経平均株価の構成ウエイトの約10%を占めます。日経平均に与える影響が非常に大きいことから、同社の株式を保有していない投資家からの注目度も高くなっています。
エービーシー・マート(2670)やユナイテッドアローズ(7606)も、国内ユニクロ売上情報と同じように季節要因を把握できます。その他、ファッションの流行、訪日外国人の動向などを探る上でも参考になります。
ユナイテッドアローズは、店舗の他にネット通販の売上高や好調アイテムもイメージ付きでわかりやすく公表されています。
百貨店の全国百貨店売上高については前述しましたが、企業ごとにも月次売上高を公表しています。こちらも季節要因や訪日外客の動向、消費増税の影響などを探ることができます。
その他にも、スーパーマーケットやドラッグストア、専門店、飲食店など多くの企業が月次動向を公表しています。投資先を絞り込む際、個別に月次動向を追っていくことで、投資タイミングもつかみやすくなるはずです。
小売関連の銘柄選定では為替動向も考慮
これら小売業の業績の背景にあるのは景気動向です。景気の良し悪しによって、消費マインドが変化し、売上高に影響を与えます。また、2015年時点では、訪日外客の動向が大きな影響を与えています。訪日外客数が増加した背景には、為替の動きも密接に関係しています。
このように、小売セクターの銘柄選定は、足元の景気動向、為替、訪日外客の需要、流行など様々な要因を読み取ることが重要になってきます。