投資先が多いという「自由度の高さ」も株式投資の特徴
日本国内で扱われる投資商品は株式、投資信託、債券、外国為替証拠金取引(FX)、金、プラチナ、商品先物取引、REIT等と様々です。株式と他の投資商品の大きな違いとして、投資先の判断材料が身近なところにあるか、ないかが挙げられます。
FX、先物などは様々な情報を得て投資判断をすることはできますが、最終的には数字の動きを追うことになります。投資信託には株式が組み込まれたタイプもありますが、投資先の個別企業を自分で選ぶことはできません。株式はまず企業があり、商品やサービスを見極めて投資判断をすることができます。売れ行きは良いのか、業績や将来性はあるのか、詳細を確認することができます。
たとえば、企業が手掛ける商品がヒットすればニュースとなり、経営する社長の想い、働く社員の逸話、開発エピソードなどを知ることもできます。また、企業業績は消費者の動向から国内外の景気動向まで、様々な要因に大きく左右されます。企業をもとにした株式投資は実体経済と共にあるのです。投資先の数が非常に多いという自由度の高さも株式の特徴です。
上場企業は約3800社、その中からA社、B社、C社と比較し、投資先企業を選ぶことができます。単純に株主優待が欲しいから、好きな企業だから、という理由で選ぶことも可能ですし、ファンダメンタル分析(企業の財務諸表や株価との関係性で判断)、テクニカル分析(株価チャートなどを利用して判断)を駆使して選ぶこともできます。
つまり、初心者からベテランまで、どのような投資家でも受け入れることができる包容力を持っています。株式投資は企業選びから始まり、様々な分析方法、投資手法など、知れば知るほど奥深いものです。株式投資は身近な存在であり、投資対象の広さ、自由度の高さなど多くの魅力があります。
しかし、投資にはリスクも存在します。そのリスクを回避するため、株式に関する知識はしっかり身につけていきましょう。投資未経験者の方が株主優待を目的に、株式投資の一歩を踏み出すことに私は賛成しています。株式投資は多額の資金が必要と思う方もいますが、数万円の投資資金で株主優待を受け取ることができる企業もあります。
株主になると、投資先の企業はもちろん、日本株式市場全体の動き、為替、景気の動向、そして海外の市場まで知らず知らずの内にチェックするようになっていきます。そのように株式に関連する多くの情報に対してアンテナを張ることは、投資以外の仕事や家計にも良い効果をもたらすでしょう。
プロに負けない「個人投資家の武器」とは?
投資を始めることで、株式市場をより深く知っていくと、様々な指標や取引の手法があること、多様な市場参加者が取引していることがわかってきます。その参加者は様々で、個人のトレーダーもいれば、機関投資家と呼ばれる集団や海外投資家、ファンド、証券会社も参加しています。
投資の世界では、国、日本銀行、銀行、生命保険会社の他、一般の企業でも一定条件(資本金5億円以上であると見込まれる株式会社、特殊法人・独立行政法人等の法人)を満たす方を特定投資家(プロ)、それ以外の方を一般投資家(アマ)と区分しています。プロ、アマと区分がされているにもかかわらず、同じ土俵で闘うというのは投資の世界ならではの事象ではないでしょうか。
プロの手法に関して一例を挙げると、機関投資家の場合、複数のアナリスト、分析のスペシャリストを配し、調査研究を行います。もちろんアマでも企業の将来性を判断し、リスクを把握し、値動きを読んだ上で投資をすることが可能です。しかしプロと比較すれば個人投資家が自分ひとりで分析を行うには限界があると感じます。
投資をお考えの方の中には「株式投資は覚えることが多い上に、プロを相手にするなんて難しい」と、感じる方もいることでしょう。ところが、株式投資はアマと呼ばれる一般の人に有利となるケースも多くあるのです。行列のできるレストラン、常に品薄になっている商品など、日常、消費者目線で感じることが、そのまま投資のヒントに直結します。
パッと見て好調か、売れ行きが良いか、ネットの口コミサイトや友達、家族の話題など、普段自分がその商品を手に取るきっかけになるようなことが企業の売上に直結しているのです。これは日本に居住していない海外投資家にはできないことです。
個人投資家に人気の株主優待も同様です。機関投資家にとっては廃棄対象となる可能性がある株主優待でも、個人投資家にとっては魅力があることが大半です。プロと同じ分析をしなくても、消費者目線という大きな武器を用いて株式投資に参加することができる。これは、個人投資家ならではの大きな魅力と言えます。