ゴルフ場売上高は「景気動向」を反映しやすい
前回の続きです。
④テーマ【サービス産業】
経済産業省では、ゴルフ、テーマパーク、冠婚葬祭、英会話、フィットネスクラブ、学習塾など幅広いサービス産業の統計調査の結果を公表しています。
●サービス産業統計
経済産業省 特定サービス産業動態統計調査 毎月
この統計では、特定のサービスごとに売上高等の経営動向がまとめられており、短期的な景気動向の判断材料として利用できます。どのサービス分野が好調かを分析することで、景気循環などを広く読み解くことができます。
まずは、景気動向を敏感に示しやすい統計として、ゴルフ場に注目してみます(下記図表参照)。
[図表]ゴルフ場売上高と日経平均の推移(年次)
ゴルフ場売上高合計の年別統計(過去10年)を見てみると、2008年のリーマンショック後は落ち込みを見せました。しかし、2011年に底打ちをし、2014年にかけて回復傾向にあります。
ゴルフ場売上高は、企業が接待等で利用する機会、あるいは消費者が趣味にお金をかける機会が増加・減少したなど、景気動向を反映しやすい特徴があります。
景気拡大局面でゴルフ場の売上が増加すれば、ゴルフ関連銘柄への恩恵も期待できます。ゴルフダイジェスト・オンライン(3319)などの他、スポーツショップを運営するゼビオホールディングス(8281)、アルペン(3028)などが関連銘柄です。
これらの企業は株主優待を実施しているため、趣味を兼ねて株式を保有される個人投資家の方もいます。
テーマパークの「全体」統計は参考程度にとどめる
その他に、増加傾向をたどるサービスがフィットネスクラブです。医療費削減のために政府が健康増進の施策に取り組む他、企業側の健康に対する考え方も徐々に広がりを見せています。こうした健康志向の高まりを背景に、フィットネスクラブの利用者数が増加しています。
また、運営側もシニア向けに認知症対策や介護関連サービス強化で裾野を広げるなど、少子高齢化に合わせた取り組みも加速しています。
ライザップを経営する健康コーポレーション(2928)やセントラルスポーツ(4801)、ルネサンス(2378)などが関連銘柄です。
身近なサービスではテーマパークが挙げられます。特定サービス産業動態統計調査の遊園地・テーマパーク統計では、遊園地やテーマパーク全体の市場動向を探る資料として有効です。
ただしテーマパークごとに、人気や来客数、売上高に大きな差があるため、全体統計はあくまで参考程度にとどめる必要があります。テーマパークは統計で全体像を把握した上で、旬の情報を収集し、企業ごとの月次動向で入場者数や売上高の推移を確認する方法が好ましいと考えます。
ディズニーリゾートであればオリエンタルランド(4661)、ハウステンボスはH・I・S(9603)、ピューロランドならサンリオ(8136)といった具合に、運営会社のホームページで確認します。いずれの企業でも株主優待を実施しています。