投資対象として「適切な企業か」を事前に確認する
「イオンの優待割引が欲しい」「カゴメの商品詰め合わせが欲しい」といった具合に、株主優待を目的に投資を始める場合でも、できる限り失敗は避けたいところです。
失敗を避ける第1のポイントとして、あわてて株式を買付しないことです。テレビや雑誌などで情報を知り、すぐに株式の買付注文を出される方もいますが、注文時が良いタイミングなのか、投資対象として適切な企業なのかを事前に確認する必要があります。
株主優待に売り切れはありません。株式の権利を確定する期限までに買付し、権利が確定するまで保有すれば、株主優待を受け取ることができます。あわてて買付の注文を出すと、思わぬ高値でつかんでしまうケースもあり得ます。
第2のポイントは、株価をよく確認することです。第1のポイントにも通じますが、優待が人気の銘柄は、値動きに特徴が出ていることがあります。株主優待を受け取るために
は、その銘柄の「権利付最終日」に株式を保有している必要があります。
優待が人気の銘柄は、この日に向かって、株価が上昇しやすい傾向が見られます。通常、権利付最終日の翌日の「権利落ち日」まで、最低でも営業日で1泊2日、株式を保有すれば株主優待を受け取れる権利が確定します。
しかし、優待が人気の銘柄は、権利落ち日以降に、権利を得た投資家が株式を売却する傾向が強まり、株価は大きく下落することがあります。このような傾向が見られる銘柄は、権利付最終日付近で株価が上昇している時に買付するより、株価が落ち着いた頃に買付したほうが良い場合があります。
また、企業業績はもちろんですが、その前に優待を受け取れるのかも確認する必要があります。一例を挙げると、スターバックスコーヒージャパンは2015年3月23日に上場廃止となりました。スターバックスは株主優待が魅力で個人投資家にも人気の企業でしたが、上場廃止後には、株主優待を廃止することが決まっていました。
しかし上場廃止を決定した後も、最終取引日までは市場で売買できる状態にあり、株主優待の情報を見た方が上場廃止を知らずに買付してしまうということがありました。このようなことからも、買付前に企業の注意情報や優待情報をしっかり確認してから取引をする必要があります。
源泉徴収のあり・なしが選択できる「特定口座」
第3のポイントは株式を売買するため、証券会社に口座を開設するなど、事前準備をしておくことです。カブドットコム証券では、パソコン上から10分程度で口座開設の申込みができます。その後、口座開設完了通知を受け取り、事前に買付する金額以上の入金を済ませておく必要があります。
口座開設後にポイントとなるのが、株式を買付する際の口座の区分についてです。証券口座の中には、一般口座・特定口座・NISA口座と買付する際の口座区分が複数あります。特定口座はさらに、源泉徴収のあり・なしを選択することができます。
給与所得者の方は、「特定口座(源泉徴収あり)」をお勧めします。こちらを選択しておけば、株式の売買や配当金の受け取りで損益が出た場合にも、証券会社内で自動的に税金が計算され、徴収や還付も自動的に行われます。普段確定申告をされない方は、その手間を省くことができます。
NISA口座は2014年から導入された、個人投資家向けの少額投資非課税制度です。株式の売買をスムーズに始めるためにも、こうした事前準備をしっかり整えておきましょう。