本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。今回は、伝統的ファイナンス理論を基にしたファンダメンタルアプローチとして使われることも多い「配当割引モデル(DDM法)」と「ディスカウント・キャッシュフローモデル(DCF法)」の概要とその限界について見ていく。
ディスカウント・キャッシュフローモデル(DCF法)
「DCF」はdiscounted cash flowのことで、「割引キャッシュフロー」と呼ばれる。そして、DCF法は、資産が生み出すキャッシュフローの割引現在価値をもってその理論価格とする方法で、以下の計算式で表される。
PV=現在価値(理論株価)
FCF=フリーキャッシュフロー
ρ =割引率(通常、WACC「加重平均資本コスト」が使われる)
WACC=D÷(D+E)×rD×(1-税率)+E÷(D+E)×rE
D:有利子負債総額
E:時価総額(または株主資本)
rD:負債コスト
rE:株主資本コスト
このDCF法にも、次のような欠点がある。
【DCF法の欠点】
① フリーキャッシュフローの予測に加え、加重平均資本コストの各項目の予測数値が異なれば、理論株価は大きく変動してしまう。
② そもそもWACC自体の株主資本コストが過去のβの値をベースとしており、将来のFCFの割引に用いる点に問題がある。
③ 加えて、WACCによる割引率は、将来にわたって資本構成(負債と株主資本の割合)や税率が一定であることを前提にしているが、将来の資本構成や税率がドラスティックに変わるのであれば理論株価を大きく動かすことになる。
■まとめ
市場の歪みを収益化するヘッジファンドの特徴の一つとして、①より合理性と妥当性が高いと認識されているファンダメンタルズアプローチの運用モデルの欠点や、②その前提に大きな変化をもたらす事象を予測し、投資判断に活かしてきたことは、市場においてα(=投資の成果)を目指す投資家においては忘れてはならない点であろう。
中村 貴司
東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
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東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
山一證券、メリルリンチ日本証券、損保ジャパンアセット(現SOMPOアセット)などでの富裕層・法人営業に加え、年金基金、投資信託のアナリストやファンドマネージャーとして新興市場やオルタナティブを含む幅広い市場・商品の担当責任者を経て、2016年に東海東京調査センター入社。
現職では短中期の戦術的資産配分(タクティカル・アセットアロケーション)やオルタナティブ投資(ヘッジファンド・テクニカルやコモディティ戦略含む)の視点を踏まえたグローバルな日本株の市場分析等を行う。他の代替資産・戦略としてJリート投資戦略、ESG投資戦略、行動ファイナンス投資戦略などもカバーしている。
英国国立ウェールズ大学経営大学院MBA。アライアント国際大学・カリフォルニア臨床心理大学院米国臨床心理学修士号(MA)。慶應義塾大学商学部卒。国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、国際テクニカルアナリスト連盟検定テクニカルアナリスト(MFTA)、CFP、英国王立勅許鑑定士(MRICS)、不動産証券化協会認定マスター、中小企業診断士。
日経CNBCなどのTV・メディアに出演。日経新聞、QUICK、ロイター、ブルームバーグ、時事通信、東洋経済オンライン、幻冬舎ゴールドオンラインなどでも執筆、コメントを行う。ヘッジファンド・テクニカルのキャリアとして世界のテクニカルアナリスト協会を束ねる国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)の理事などを歴任。早稲田大学ビジネスファイナンスセンターや同志社大学、青山学院大学等で講師を務める。
著書には投信営業に行動ファイナンスアプローチなどを活用した『会話で学ぶ!プロフェッショナルを目指す人の「投信営業」の教科書』(2021年)がある。
著者プロフィール詳細
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