「息子を可愛いと思えなくなった」と話す大友唯(仮名)さん

「自閉症スペクトラム(ASD)」3歳の息子がそう診断された―――原因は妊娠中の自身の行いだと自分を責め続け、ノイローゼになった大友唯(仮名)さん。「息子を可愛いと思えなくなった」と話す彼女と、息子さんを救ったとある医師の言葉をご紹介します。

「息子さんがよく笑うのはお母さんが笑っているから」

そんな状態が続き、3歳半になったある日、風邪を引いた息子さんを連れて病院へ。

 

「そこでお医者さんが息子を見て『よく笑うね~! 可愛いね』と言ってくれたんです。『お子さんがたくさん笑っているのはお母さんが毎日笑っているからだね』とも」

 

大友さんがハッとして息子さんを見ると、ニコニコしながら大友さんを見ていたそう…。息子さんの笑顔を見て唐突に涙が出てきた彼女に、「お母さん、大丈夫だよ。息子さん、ちゃんとわかってるよ。お母さんのこと見てるよ」と医師の言葉。

 

「私は何度もうなずきながら、息子を抱きしめました。息子もキャッキャと嬉しそうに笑い、私に抱きついてきました」

 

「息子の障害を一番受け入れられていないのは私だと思いました。自分の過去のせいにして、後悔ばかりして、今の息子と向き合うことから逃げていたのだと、その先生の言葉で気付かされました。息子はそんな不甲斐ない母親のそばでいつもニコニコしてくれていたのです」

 

大友さんは唇を噛みしめてそう話しました。

医師の言葉で守れた息子の笑顔

「変わらなきゃ。」そう思った大友さんは、そこから吹っ切れたように活動的になったそう。

 

息子さんを支援センターなどいろんな所へ連れて行ったり、自分でも本を借りて発達について勉強したりして少しずつ変わっていった大友さん―――。

 

「行動するうちに、少しずつ息子の障害を受け入れることが出来るようになりました。
あの時の、ただの風邪で受診した病院の医師の言葉がなければ、私は息子の笑顔すら奪っていたかもしれません」

 

「小学校に毎日楽しそうに通う、溢れんばかりの笑顔の息子を見て、今でもあの時の医師の言葉を思い出します。本当に感謝しています」

 

そう話す大友さんの笑顔からは、悲観的なものは全く感じられず、強さと優しさに満ち溢れているように思えました。

 

※本記事で紹介されている事例はすべて、個人が特定されないよう変更を加えており、名前は仮名となっています。

 

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