餅は餅屋…事業承継は専門の税理士への依頼がベスト
これらの理由により、同じ資格を持ち、同じ「税理士」という肩書きであっても、法人の税務申告を主要業務としている税理士では、相続・事業承継に適切に対応できないことが多いのです。
そこで、経営者の方には、事業承継の相談は、ぜひ相続・事業承継専門を掲げている税理士にされることをおすすめします。
もちろん、せっかく顧問料を払って顧問税理士の先生に依頼をしているのですから、毎月の監査の際などに、いったんは顧問税理士の見解を聞いてみるのもいいでしょう。顧問税理士を、いわば「かかりつけ医」のようなものだと考え、まずはかかりつけ医に相談する感覚です。
それとあわせて、いわば「セカンドオピニオン」として、相続・事業承継の「専門医」である専門税理士の意見を求めるというプロセスを踏んでもいいでしょう。
そのうえで、顧問の先生には、「毎年の税務申告はこれまでどおり先生にお願いしますが、事業承継対策は、専門にしている税理士に頼みます」と伝えます。その際に、「他の税理士に頼んで、顧問の先生が気を悪くするのではないか」と心配に思われるかもしれません。
しかし、私たちのこれまでの経験上、それで気分を害したり、文句を言ったりする顧問の税理士は、まずいません。むしろ、お互いに得意なところで力を発揮して、協力しながら依頼者をサポートしましょうと、積極的に協力してくれる税理士がほとんどです。
馴染みの薄い「事業承継専門税理士」…どう選ぶ?
事業承継専門の税理士の相談を考えた際、相続・事業承継のサポートをうたっている税理士事務所は全国にたくさんあります。そのなかから、依頼する税理士事務所を選ぶにはどうしたらいいのでしょうか。
まず、顧問税理士、あるいはメインバンクの担当者、商工会議所などに紹介してもらうのが、一つの方法です。あるいは、今はどの事務所も充実したホームページを作成していますから、検索して電話やメールなどで連絡するという方法もあります。
事業承継対策の実施に当たっては、当然ながら、会社や家族の人間関係、お金など、通常は他人には見せない会社や家族の実情を、デリケートな部分まで含めて、すべて知らせて、それに応じた対策を考えてもらわなければなりません。お金や人間関係について隠しごとをしながらでは、最適なソリューションを作成してもらうことは難しいのです。
したがって、依頼する相手が信頼できるかどうかという点が、非常に重要です。もちろん、税理士には守秘義務がありますし、また守秘義務契約も結びますが、それとは別に、しっかり話を聞いてくれるか、安心してすべてをさらけ出せるか、といった「フィーリング」的な部分も含めて、よく確認すべきです。
また、信頼性という点では、事務所の規模や歴史、実績も、ある程度は考慮すべき要素だと思います。
業務委託契約を結ぶ前の相談時に、考えられる対策案の概要を示してくれるはずです。その際に、会社の規模、事業承継の複雑さにもよるのですが、できればいくつかの対策案の提示があり、選ばせてくれるような税理士事務所だとよりよいでしょう。
逆に、困っていることや心配ごとなどの話をあまり聞いてくれず、対策案も一案のみを提示してそれを押しつけるような税理士事務所だと、うまく付き合っていくことは難しくなるかもしれません。
実際の業務委託契約を結ぶ前に、これらの点を、よく確認しておく必要があります。
なお、東京や大阪、福岡といった大都市であれば、どこでも、事業承継を専門とする税理士事務所はあります。しかし、税理士事務所の所在地は特段気にする必要はありません。
現在はオンラインでもかなりのやり取りができますし、対面して話す必要があるときには出張して訪ねてくれるはずです。
税理士法人 チェスター
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】