1―はじめに
医療従事者や、高齢者の新型コロナウイルスのワクチン接種に目途がついた自治体が増え、現役世代のワクチン接種も始まりつつある。ワクチン接種によって集団免疫を獲得するためには、いかに迅速に接種を進めるかが課題となる。
懸念されているのが、ワクチン忌避だ。日本は、新型コロナウイルスのワクチンに限らず、ワクチン嫌いが多いと言われている※。
※例えば、毎日新聞2021年4月18日「根深い日本の「ワクチン嫌い」信頼度高めるためには何が必要か」等
新型コロナウイルスのワクチンに関しては、重症化リスクや死亡リスクが高年齢層に偏っているのに対し、ワクチンによる副反応は若年に多いとされる※など、特に若者が慎重になる傾向が予想される。
※厚生労働省 新型コロナワクチンQ&Aサイト(https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0014.html)
本記事では、すぐには接種を希望しない人の理由と特徴を分析した。使用したデータは、2020年6月からニッセイ基礎研究所が定期的に実施している「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」の第4回調査※(2021年3月実施)である。
※調査結果の概要は「第4回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 をご参照ください。
調査は、全国の20~69歳の男女(調査会社のモニタ)を対象としてインターネットで2021年3月26日~29日に実施し、2,070人から回答を得た。
調査を実施した3月末までのワクチンに関する動向を、NHK特設サイト※で振り返ると、1月頃から海外の臨床試験の結果や接種状況などから効果や安全性についての情報、変異株にも効果があること等が報じられていた。
※NHK ワクチン接種 日本国内の状況は(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/japan_2021/)
2月にファイザー社のワクチンが認可されて医療従事者の優先接種が始まっており、4月に65歳以上の高齢者のワクチン優先接種が始まることが決まっていた。64歳以下については、心疾患・脳血管疾患・糖尿病・高血圧・呼吸器疾患などの持病がある人、免疫系の持病(治療中の悪性腫瘍を含む)がある、または、免疫の機能を低下させる治療(ステロイドなど)を受けている人、肥満である(BMI30以上など)人は重症化リスクが高いとして、優先的に接種することが考えられていた。
国内におけるワクチン接種と副反応に関連したものでは、3月10日に河野規制改革担当大臣が「欧米の状況と比べると、数は多いように思われる」と発言している。26日には国内の医療従事者で1万2000回に1件の割合でアナフィラキシーが報告されていることが報じられ、3月29日には花粉症や食物アレルギーなどがある人も接種は可能とされている。3月になって、ワクチン接種後に死亡した事例もあったが、これらについては、接種との因果関係が評価できないと報じられた。