(※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナの危機を評価するときに難しいのは、脅威とその規模をどう見極めるかだという。今回のパンデミックを量的に捉えることが難しいのは、その危険性を判断するとき2つの異なる尺度が存在する。1つは健康上の脅威、2つは経済的脅威だという。今回のパンデミックをどう評価すればいいのか。※本連載は、ダグ・スティーブンス氏の著書『小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

ワクチンが行き渡ってもコロナ禍は終息しない

■ワクチンが開発されても、正常化の時期は不透明

 

新型コロナウイルス感染拡大の初期、小売業界関係者と話していると、決まって最後は誰かが「ワクチンが出てくるまではなぁ……」とぼやくか、もっと語気を荒らげて「まだワクチンはできないのか」と漏らすというパターンだった。

 

幸いにも、いくつかのワクチンが承認され、流通や接種が始まっている。

 

もっとも、何十億回分ものワクチンの輸送、保管、接種は容易ではない。しかも、ワクチン候補のなかには、2回の接種で有効になるものもある。現場の医療従事者や、高齢者など重篤化しやすい人々から優先的に接種が始まっているが、一般の人々にワクチンが行き渡って一定レベルの集団免疫が獲得できるのは、さらに何カ月も先になりそうだ。

 

したがって、社会が何らかの状態に戻るにしても、その「何らかの状態」というのが、完全に感染拡大前のビジネスの世界になることなど、まずあり得ないと言っていい。当面は感染再拡大のリスクと背中合わせに生きていかざるを得ないだろう。

 

こんな予断を許さない前代未聞の将来に向けて、いったいビジネスリーダーはどのように備えればいいのか。未来など予測のしようがないという声もある。まったくもってそのとおりだし、予測しようとがんばる必要もない。だが、だからといって、備えができないわけではない。

 

 

 

ダグ・スティーブンス
小売コンサルタント

 

 

小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

小売の未来 新しい時代を生き残る10の「リテールタイプと消費者の問いかけ」

ダグ・スティーブンス

プレジデント社

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