「ヘッジファンド」に投資する国内機関投資家が増加した背景
(※写真はイメージです/PIXTA)
※本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。今回は、日本の機関投資家の間で「ヘッジファンドへの投資」が拡大した背景について見ていきます。
様々な運用モデルの開発の過程でヘッジファンドも普及
以上のような背景から、固定的な政策アセットミックスによる運用が上手く機能しない可能性や、上手く機能しない局面での効果的な対応についての本格的な研究・モデル開発が進み始めたのである。
その過程で、機関投資家のアクティブ運用において投資戦略・分析手法の分散の観点からヘッジファンドを含むオルタナティブ戦略の運用モデルの開発・研究が広がったと言えよう。
一方、効率的市場仮説をベースに「パッシブ・インデックス」化の流れも強まった。また、ファクターやアノマリーなどとの融合で「スマートベータ」も拡大した。加えて、ショートターミズム(=短期志向)への批判から「ESG投資」への注目も高まった。
このように、伝統的ファイナンス理論を背景としたファンダメンタルズ分析の"一強時代"から、様々な投資・運用戦略が群雄割拠する"戦略分散時代"に入ったのである。
そして、日本の機関投資家の間でも様々な投資戦略を持つヘッジファンドへの投資が拡大し、またポートフォリオのなかにヘッジファンド戦略を組み込む動きが広がったと考えられる。
中村 貴司
東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
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東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
山一證券、メリルリンチ日本証券、損保ジャパンアセット(現SOMPOアセット)などでの富裕層・法人営業に加え、年金基金、投資信託のアナリストやファンドマネージャーとして新興市場やオルタナティブを含む幅広い市場・商品の担当責任者を経て、2016年に東海東京調査センター入社。
現職では短中期の戦術的資産配分(タクティカル・アセットアロケーション)やオルタナティブ投資(ヘッジファンド・テクニカルやコモディティ戦略含む)の視点を踏まえたグローバルな日本株の市場分析等を行う。他の代替資産・戦略としてJリート投資戦略、ESG投資戦略、行動ファイナンス投資戦略などもカバーしている。
英国国立ウェールズ大学経営大学院MBA。アライアント国際大学・カリフォルニア臨床心理大学院米国臨床心理学修士号(MA)。慶應義塾大学商学部卒。国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、国際テクニカルアナリスト連盟検定テクニカルアナリスト(MFTA)、CFP、英国王立勅許鑑定士(MRICS)、不動産証券化協会認定マスター、中小企業診断士。
日経CNBCなどのTV・メディアに出演。日経新聞、QUICK、ロイター、ブルームバーグ、時事通信、東洋経済オンライン、幻冬舎ゴールドオンラインなどでも執筆、コメントを行う。ヘッジファンド・テクニカルのキャリアとして世界のテクニカルアナリスト協会を束ねる国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)の理事などを歴任。早稲田大学ビジネスファイナンスセンターや同志社大学、青山学院大学等で講師を務める。
著書には投信営業に行動ファイナンスアプローチなどを活用した『会話で学ぶ!プロフェッショナルを目指す人の「投信営業」の教科書』(2021年)がある。
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連載東海東京調査センター「オルタナティブ投資戦略取材レポート」
このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。