「スマート・サステナビリティー指数」に注目する
「MSCI」などの株価指数を算出している金融サービス会社は、様々なスマート・サステナビリティー指数を投資家に提供している。このスマート・サステナビリティー指数とは、既存のファクター指数(低ボラティリティ、クオリティ、バリュー、モメンタム、マルチファクターなど)に基づくESG指数を導入したものである。
クオンツ系のESGヘッジファンドなどは、このようなESGのファクター戦略を取り入れ、機動的なスイッチングを行ったり、ファクター間でメリハリのあるウェイト付けを行ったり、ファクターのユニバース内で5分位による割高、割安銘柄を選定し、ロングショートをかけたりして投資パフォーマンス(α)の獲得を目指している。
「AI」を活用してビックデータを解析する
AIとESG投資の観点では、ビッグデータと深層学習を活用することで、ESGの多様なロングショートのアイデアを構築している。
たとえば、アラベスク・アセット・マネジメントは、サステナブルなクオンツ投資に特化した資産運会社である。そして、世界の企業のサステナビリティを監視するデーターベース「Sレイ(S-Ray)」は、機械学習のアルゴリズムを構築し、収集したデータに基づいて企業を評価している。
ESGの項目は多岐に渡り、また膨大なデータとなっているため、このようなビッグデータ解析と比較的相性がよいと言えよう。
この膨大なESG関連データのなかから、本当に企業の中長期の企業価値につながる(もしくは、つながらない)、または中長期の企業価値の向上につながる(もしくは、つながらない)と予想されることで、株価がポジティブ(ネガティブ)に反応するいくつかの項目を、AIなどを活用し見つけ出すことで、ロングショートの投資アイデアにつなげている。
「グリーンウォッシュ」の観点を利用する
グリーンウォッシュとは、「環境に配慮した」を意味する「green」と「ごまかし」を意味する「whitewash」を組み合わせた造語で、企業やその商品・サービスなどが消費者や投資家への訴求効果を狙い、あたかも環境に配慮しているかのようにごまかし、見せかけることである。
根拠を示さずに「環境にやさしい」などの表現を使ったり、森林などの写真を使って環境に配慮したイメージを与えようとしたり、環境に悪影響のある事業や製品およびその製造過程には触れずに環境に配慮した取り組みを謳ったりするなど、実態を正しく伝えず、消費者や投資家に誤解を与えることを指す。
企業の見せかけによる形式的なESG投資項目の引き上げにより、メディア・外部評価機関による対外評価やESGランクが高まり、またESG関連指数に採用されることで機械的な需給要因から株価が上昇するような場合、ショートをかける。
逆に、企業が本質的なESGの取り組みを行っているにもかかわらず、メディア・外部機関による対外評価やESGランクが高まっていない、またESG関連指数の採用にあたって特定の項目だけを満たしていないために機械的に除外される(または指数に採用されない)場合、ロングをかける。
また、企業の経営者やIR担当者などとの対話を通じて、グリーンウォッシュを生み出す企業文化・組織風土の有無を掴んで、確度を高めた上でジャッジメンタルなロングショート戦略をとることも多い。
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