先輩からの優しい指導で追い詰められ…産業医が見た「サービス業」のメンタル不調リスク (※写真はイメージです/PIXTA)

産業医の立場で、企業を継続的に見ていくと、様々な気づきがあり、中には簡単に改善できることも多いと筆者は語ります。一つひとつ解決していけば、従業員の健康や職場の働きやすさは、ずいぶん改善するはずです。本記事ではメンタル不調のリスクが高い「サービス業」について見ていきましょう。

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最終的にメンタルが破たんする追い詰められ方

以前、保育園の健康管理に携わったことがあります。保育の方針について検討する、職員会のようなものがありましたが、若い保育士はどうしても経験が少ないので、ベテランの保育士からアドバイスを受けると、自分を否定されたように感じてしまう面があります。

 

「あなたのやり方が間違っている」と言われたと受け取ってしまいがちなのです。先輩から「子どものためなんだから頑張れるでしょう」と精神論を持ち込まれると、反論できません。それが続いて、メンタルが耐えられなくなることがあります。とくに一人の保育士が槍玉に挙げられたり、集中攻撃を受けたりすることもあります。

 

これは介護職も同じです。援助の必要な人と実際に関わって支援や援助を行なう人を対人援助職といいます。対人援助職には、医師や看護師、介護職や教師、保育士、ソーシャルワーカーなどさまざまな仕事があります。

 

対人援助職に就いている人は、「顧客のために私たちは身を粉にして頑張らなければいけない」との責任感をもってしまいます。自分のことは後回しにして、援助する対象を優先しなければならないとの意識が強くなります。

 

前述の職員会のような検討会は、対人援助職ならどこの職場でもあり得ます。その運営がうまくいっていないケースは少なくありません。犠牲を強いられるような場面が多く、本人も「自分が悪いんだ」とネガティブな思考になってしまいます。

 

そうなってしまうと、先輩から優しい指導を受けても追い詰められていきます。最終的にメンタルが破たんしてしまいます。ノルマにしても「お客さまの役に立つ」との思いがあります。自分が会社に評価されるためには、お客さまから評価されなくてはなりません。

 

とくにサービス業はお客さまと会社のはざまに立つことになり、メンタル不調のリスクが高い傾向にあります。

 

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サービス業で産業医がサポートする際には、第三者として話を聞くことが第一です。その上で、先輩たちはどうしてきたかなどを話して、「自分が必要以上に傷ついている」ことを気づかせてあげます。必要な場合には、産業医として休職を勧めることもあります。

 

追い込まれている環境から、一度距離をおくことでリフレッシュできます。自分を客観的に見て、「今度はこうしていこう」と、もう一度頑張る気力も生まれてきます。

 

燃え尽き症候群や適応障害になってしまったとき、一度休職すると、落ちつくことがあります。小規模事業者の場合、産業医が社長と本人とで直接話ができるので、フォローがしやすい面があります。

休職するなら「病気になる前」が望ましいが…

実際に病気になる手前の人を休ませるのは簡単ではありません。うつ病になりかけているケースでも、まだ薬は必要ではない、精神科を受診して「あなたは病気ではありません」と言われる段階でも、そのまま放っておくと本当に治療が必要な重篤な状況になってしまうおそれがあるケースはあります。

 

産業医としては、いったん休むことを勧めるのですが、企業としても本人としても、本当に休職の必要があるのか、判断が難しいことが多いのです。しかし、この段階で休んでおかないと、重篤な状態になってしまいます。サービス業では、そのような場面が多いのです。

 

企業が現状に追いついていない面もあります。休職する際には、企業が診断書を求めるケースが多いのが実情です。そのために病気に至っていない段階で休職するのは難しい現状があるのです。

 

産業医から従業員に「病院へ行き現状をしっかりと伝えて、休職のための診断書をもらってください」とアドバイスすることもあります。企業の中には、「産業医の判断でいいです」と休職を認めるところもありますが、全体としては少数派です。

 

また、産業医と社会保険労務士が連携できると、症状などが軽い段階の休職が実現しやすい面はあります。休職すると、その間は健康保険から傷病手当金が給付されたりしますので、手続き面では社会保険労務士のサポートが必要になります。

 

産業医と社会保険労務士を上手に活用できると、従業員の働きやすさをずいぶん改善できる可能性があるのです。

 

 

富田 崇由

セイルズ産業医事務所

 

 

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セイルズ産業医事務所 医師

1978年生まれ、愛知県名古屋市出身。

2003年3月、浜松医科大学卒業。
2003年4月、名古屋第一赤十字病院にて研修。
2005年4月、同病院救命センタースタッフとして地域医療災害医療にも携わる。
2008年4月より複数の在宅クリニックにて在宅ホスピスに従事。
2014年11月、ナラティブクリニックみどり診療所開院(内科心療内科精神科)。
2016年4月、セイルズ産業医事務所開設。信念は「患者のストーリーに寄り添ってベストな治療方針を」。

2016年に産業医事務所を開設後は、会社を「小さなクリニック」にすべく小規模事業者にも産業医の必要性を訴えている。

著者紹介

連載なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

※本連載は、富田崇由氏の著書『なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

なぜ小規模事業者こそ産業医が必要なのか

富田 崇由

幻冬舎メディアコンサルティング

小規模事業者が頭を悩ます問題――深刻化する人材不足、それに追い打ちをかける社員の体調不良やメンタル不調…。「社員の病気」は会社の経営を脅かす。 小規模事業者にとっては、社員の一人ひとりが貴重な戦力だ。そんなな…

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