(※写真はイメージです/PIXTA)

「テールリスク」とは、極めて低い確率で株価が大幅に下落するリスクのことをいいます。今回は、複数のヘッジファンドの戦略を組み合わせて、このテールリスクに備えるヒントを見ていきます。※本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。

複数のヘッジファンド戦略を組み合わせてリスクを管理

【表1】は、テールリスク(ここでは極めて低い確率で大幅下落するリスク)を避ける一つのアイデアとして、パリバショック及びリーマンショックを背景に急落の動きとなった2007年7月末~2009年2月末までの、主なヘッジファンド戦略のリスク・リターンの相対順位を示したものだ(月次のユーリカヘッジ・ヘッジファンド指数で算出)。

 

(出所:ブルームバーグデータを基に東海東京調査センター作成)  2007年7月末から2009年2月末までの月次のリターン、リスク(標準偏差)から算出。年率換算ベース。ヘッジファンド全体および個別戦略の相関係数算出はユーリカヘッジ・ヘッジファンド指数を使用。
出所:ブルームバーグデータを基に東海東京調査センター作成
※2007年7月末から2009年2月末までの月次のリターン、リスク(標準偏差)から算出。年率換算ベース。

 

また、【表2】は、主なヘッジファンド戦略の相関係数(1から-1までの範囲で表され、値動きの連動性を測る指標)を示したものだ。

 

出所:ブルームバーグデータを基に東海東京調査センター作成 ※ヘッジファンド全体および個別戦略の相関係数算出はユーリカヘッジ・ヘッジファンド指数を使用。
出所:ブルームバーグデータを基に東海東京調査センター作成
※ヘッジファンド全体および個別戦略の相関係数算出は、ユーリカヘッジ・ヘッジファンド指数を使用。

 

「①レラティブバリュー戦略」(割高・割安な相対価値を見極め、ロング・ショート等を組み合わせることで収益を上げる投資手法)や、トレンドに追随する「②CTA戦略」に加え、「③グローバルマクロ戦略」(世界中の国や地域のマクロ経済見通しや財政・金融政策などを踏まえた上で各国の株式、債券、為替のポジションを構築し、収益を上げる投資手法)や、「④マーケットニュートラル戦略」(ロングとショートポジションを組み合わせ、市場の変動による影響を極力受けないようにしながら収益を狙う投資手法)の4つがリスク・リターンの順位が高く、他の戦略に対する相関も低い。

 

このような複数のヘッジファンドを組み合わせ、ポートフォリオに取り入れることで上昇相場に追随しつつ、相場急変に対するリスクヘッジ手段も確保できる可能性を示しており、検討に値しよう。

 

もちろん、日中、日次、週次のデータでは異なる結果が生じることもあるし、同戦略のファンド内でも異なるプロファイルが生じることもある。加えて、歪度や尖度のブレによる非正規性もあり、多様な指標から複合的に判断することが重要であることに変わりはない(参照:『「歪度管理」を活用して日本株の長期上昇トレンドに乗る方法』)。

 

特にレラティブバリュー系のヘッジファンドのなかには、突発的な危機などに直面した場合、負の歪度や大きな尖度が見られものもあるため、異なるプロファイルを持つレラティブバリューファンドへの分散投資に加え、レラティブバリュー戦略と比較的相関の低いグローバルマクロやCTAなどの異なるプロファイルの戦略を組み合わせることで、テールリスクを管理することも重要だと考えている。

 

中村 貴司

東海東京調査センター

投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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