「家賃滞納は普通の人が堕ちる破滅への入り口である。」……2500件以上の家賃滞納トラブルを解決してきた、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏。同氏は書籍『家賃滞納という貧困』(ポプラ社)のなかで、その悲惨な実態を明かしている。
「不労所得を得よう」安易に物件を建てる家主の末路
一昔前までは、賃貸物件を建てさえすれば、さして努力しなくても入居者はすぐに決まりました。ところが不動産投資をする人も増え、大幅に物件数が増えた今はそう甘くはありません。数ある物件の中から、自分の物件を選んでもらわなければならない時代になったのです。
そんな状況の中で、「年金代わりに家賃収入を」という営業トークに煽られてたくさん賃貸オーナーが生まれました。「不労所得を得ましょう」と、賃貸経営を軽く考えている投資家もいます。ところが現実には入居者を集めることに苦慮して、思ったほど賃貸収入が得られず、大変な思いをしている家主が続出しているのです。
そういう家主は物件を建てる際に、多額の借り入れをしているケースがほとんどですが、建築側の営業トークによれば、その返済は「家賃収入で賄える」(しかもそれでもお釣りが出る)はずでした。ただし、それはあくまでも、常に空室がなく、さらに入居者から毎月きちんと家賃が支払われることが前提なのですが、そのリスクを想像しなかったという家主は驚くほど多いのです。
同じ1億円でも、株に投資することにはかなり慎重になるはずなのに、賃貸物件への投資となると、なぜか急に甘く考えてしまう人が多い。そう感じているのは、私だけではないはずです。
そういう家主にとって、家賃滞納は一大事です。払えないのなら退去してもらいたいのですが、ことはそう簡単ではありません。前述のように、賃借人の権利が守られているからです。そうなると滞納額は増える一方。最終的には法的手続きに着手してでも、出て行ってもらわねばならないことになります。
【12/18(木) 『モンゴル不動産セミナー』開催】
坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション
OAG司法書士法人代表 司法書士
株式会社OAGライフサポート 代表取締役
30歳で、専業主婦から乳飲み子を抱えて離婚。シングルマザーとして6年にわたる極貧生活を経て、働きながら司法書士試験に合格。
登記以外に家主側の訴訟代理人として、延べ2500件以上の家賃滞納者の明け渡し訴訟手続きを受託してきた賃貸トラブル解決のパイオニア的存在。
トラブル解決の際は、常に現場へ足を運び、訴訟と並行して賃借人に寄り添ってきた。決して力で解決しようとせず滞納者の人生の仕切り直しをサポートするなど、多くの家主の信頼を得るだけでなく滞納者からも慕われる異色の司法書士でもある。
また、12年間「全国賃貸住宅新聞」に連載を持ち、特に「司法書士太田垣章子のチンタイ事件簿」は7年以上にわたって人気のコラムとなった。現在は「健美家」で連載中。
2021年よりYahoo!ニュースのオーサーとして寄稿。さらに、年間60回以上、計700回以上にわたって、家主および不動産管理会社向けに「賃貸トラブル対策」に関する講演も行う。貧困に苦しむ人を含め弱者に対して向ける目は、限りなく優しい。著書に『2000人の大家さんを救った司法書士が教える 賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド』(日本実業出版社)、『家賃滞納という貧困』『老後に住める家がない!』(どちらもポプラ新書)がある。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載GGO大ヒット連載ピックアップ~『家賃滞納という貧困』