コロナ禍で、東京都心5区の空室率は15ヵ月連続で上昇
2021年6月10日に、三鬼商事が東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の2021年5月時点のオフィスビル平均空室率を発表した。空室率は5.9%(前月比+0.25ポイント)となり、上昇は15ヵ月連続(図表1)。
また、新築ビルの空室率は、3棟が既存ビルの区分にシフトしたため、9%近くまで上昇した(図表2)。
コロナ禍でオフィスビルの余剰スペースを解約する動きなどが、引き続き空室率を押し上げた。平均賃料(3.3㎡あたり)についても21,249円(前月比-166円)となり、10ヵ月連続して下落した。
空室率の上昇に遅行する形で賃料に下落圧力がかかっており、前年比の賃料の伸び率は-6.95%と2020年12月に前年比マイナスに転じて以降、6ヵ月連続の下落となった。
5区別の空室率(図表3)を見ると、新宿区の空室率の上昇が目立った(6.47%まで上昇)。
また、IT・スタートアップの多い渋谷区の空室率は前月比で3ヵ月ぶりに上昇に転じ、空室率は6.02%となった。渋谷区の賃料は都心5区のなかで一番高く、また前年比の下落率が都心5区のなかでもっとも大きい(図表4)。
賃料の前年比を見ると、渋谷区のみ下落率の前月差が改善しているが、空室率は再度上昇しており、当面は方向感を探る動きが予想される。とはいえ、今後の職場でのワクチン接種の流れはオフィスリートのファンダメンタルズの改善要因になると考える。
需給面では、FTSEグローバル株式指数シリーズへの全4回にわたる組み入れが6月(組み入れ基準日は18日)に終了し、短期の良好な需給要因が剥落すると見られる点には留意したい。
なお、東証が発表した5月の投資部門別売買状況では、委託売買代金の6~7割程度を占める海外投資家は379億円買い越した(4ヵ月連続の買い越し)。イールドスプレッド(予想分配金利回り-10年国債利回り)など、グローバルで見たJリートの割安感に加え、6月にFTSEグローバル株式指数シリーズへもう一段組み入れられる点も海外投資家の買い越し額を増加させたと見られる。
一方、法人は4ヵ月連続の売り越しとなった。5月は219億円の売り越し。内訳を見ると、投資信託の売り越し幅が大きい。特に個人投資家の保有割合が多い投資信託はJリート市場の値上がりを受け、継続的に利益確定売りが膨らんだとみられる。
一方、日銀による買付は4月、5月がゼロとなったがマーケットインパクトは小さく、市場は特に懸念していないようだ。
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