(※画像はイメージです/PIXTA)

成長途上のお子さんは、ときに挫折しそうになることもあるでしょう。自信を失ったわが子に、親御さんはどう接すればいいのでしょうか。医師であり、現在は保護者向けの幼児教室を経営している著者が解説します。※本連載は、幼児教室ひまわり塾長、熊野貴文氏の著書『子どもを医者にした親たちが幼少期にしていたこと』(啓文社書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

子どもが動揺しても、親まで動揺してはダメ

子どもが挫折しそうになっているときの親の心構えについて、もうひとつだけお伝えしたいと思います。

 

それは、親御さんが動揺してはいけないということです。親御さんが常に冷静であることが、最も大切です。

 

ただでさえ、お子さんは何かに失敗して動揺しています。そこで親御さんまで動揺してしまったら、お子さんの不安は大きくなるばかりです。

 

親御さんが動揺せず、冷静であれば、目先の小さな失敗にとらわれることなく、お子さんに本来の目的を思い出させてあげることもできます。

 

目先のテストがちょっと悪かったといって動揺するのではなく、もっと先の目的のために、これからどうすればよいのか。次につなげて導いてあげるのが親御さんの仕事です。

 

これからどうやっていけばよいのかをお子さんと一緒に考えて、本来の目的を再確認できれば、達成するためには何が必要かということも、お子さんは自分で考えるようになります。

 

もしお子さんの状態が本当に挫折しそうな深いところにある場合は、気持ちを軽くしてあげる言葉も必要かもしれません。

 

例えば「一度や二度失敗したところで、命まで取られるわけじゃない」などとお子さんの心を軽くしてあげるような言葉がけも大切です。

 

人は多くのものを失敗や挫折から学びます。その貴重な機会を与えてもらっている。親御さんはそのくらいの気持ちを持っておくとよいのです。

 

実際、中学受験であれば、模擬試験の成績が一回悪かったくらいのことは、重要ではありません。たとえ中学受験に失敗して、志望校に合格できなかったからといって、人生が終わってしまうこともありません。

 

がんばって幸運にも志望校に合格したとしても、そこに入学してから、まわりの生徒さんがあまりにも賢すぎてついていけなくて挫折するパターンもあります。ずっと全力疾走が求められ、ちょっとでも油断したら落ちてしまうような状況が続いたら、そのお子さんにとっては相当にしんどいことでしょう。

 

たしかに志望校に合格することはプラスに見えますが、本当のところはわかりません。志望校に合格し、そこでの環境が厳しくて挫折してしまうより、ワンランク落としたほうが多くの成功体験を味わえ、自信が芽生え、将来につながっていくかもしれないのです。

 

本来の目的は中学受験に成功することではなく、もっと先にあります。親御さんが冷静にこの大切な事実をぶれることなく認識していれば、目先の失敗で動揺することもなくなるでしょう。

 

もちろん、志望校には合格させてあげたい。しかし、長い目で見ればそれだけが成功ということではない。そのように理解しておくことが大切です。

 

ましてや、目先の1回のテストなど、どうということもありません。テストの成績がよかったからといって油断してしまって、中学受験の本番で失敗してしまうかもしれません。逆に悪かったから、「よしがんばる!」という気持ちになって、最終的によい結果に結びつけられるかもしれません。

 

何がどう作用するかわからないのですから、目先のことに親御さんが動揺してはいけないということです。トータルの視点で、お子さんを伸ばしていく覚悟が親御さんには必要なのです。

 

もう一度大事なポイントを思い出してみましょう。

 

1つ目は、お子さんのそれまでの努力を認め、「共感」すること。

 

2つ目は、過去の成功体験を呼び戻して「達成感」を与え、お子さんに自信をもう一度取り戻させること。

 

3つ目は親御さん自身が動揺をしないということ。

 

この3つをしっかりと親御さんが持っておくことが、お子さんを挫折から守ってあげるポイントです。ぜひいまから意識していただければと思います。

 

 

熊野 貴文

幼児教室ひまわり塾長

 

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子どもを医者にした親たちが幼少期にしていたこと

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幼児教室ひまわり:熊野 貴文

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