2023年と2025年に大規模オフィスビルの供給量が増加
5月27日、森ビルは「東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2021」を公表した。
東京23区の大規模オフィスビル供給量予想を見ると、2020年の179万㎡の大量供給年を越えたあとの2021年~2022年はそれぞれ61万㎡、49万㎡と過去平均を下回る供給量の見込みとなっている。
一方、2023年に高い供給量の山(145万㎡)が見られ、またその後の2025年にも120万㎡の供給があることがわかる(図2参照)。
目先は経済正常化の進展につれ、国内でも従業員のオフィス復帰の流れからオフィスリートのファンダメンタルズは好転してくるとみられる(ワクチン接種が先行している米国ではすでに米金融大手のゴールドマン・サックスやJPモルガンなどが米国勤務の従業員に対しオフィス復帰を促している)。
とはいえ、中期的にアフターコロナでオフィス需要の構造的な変化も予想されるなか、2023年や2025年の国内供給量の増加をどのようにこなしていくのかに再び焦点が当たってくる可能性もあろう。
つまり、コロナ禍で働き方改革やテレワーク・在宅ワークが浸透したことで現状のオフィススペースがここまで必要かどうかの費用対効果に注目が集まり、オフィスを解約・削減するのか、それとも現状のスペースを維持するのかの企業としての重要な決断を迫られることになるとみている。
そうした点を踏まえ、Jリートのポートフォリオ戦略では、利回り重視のコア部分(7~8割)は長期の保有継続も、キャピタルゲイン中心のサテライト部分(2~3割)は短中期の視点から商業施設やホテルリートの押し目買いを行う一方、オフィスリートに対しては売り上がりで対応し全体として中立に引き下げることも一案だろう。
中村 貴司
東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
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