コロナ感染拡大の影響によってアルバイトの回数が減らされてしまい、家賃が払えなくなってしまった事例が相次いでいます。※本記事では、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏の書籍『不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ社)から一部を抜粋・編集し、実際のトラブル事例を紹介していきます。

「子どもとの唯一の繋がりなんです」と言うワケ

「ここにずっと住み続けたいです。滞納分は何とかお支払いしますから、このまま住まわせてください」

 

安住さんは、絶対に転居は嫌だと言います。その気持ちは分かりますが、滞納している以上仕方がありません。どうしてこの物件にこだわるのでしょう。他にも部屋はいっぱいあるはずです。私は安住さんの話を聞いてみることにしました。

 

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この地で生まれ育ったんですよ。他に行ったことがない。

 

結婚して子どもが生まれて、ここに引っ越してきました。家族の思い出がたくさん詰まってるんです。離婚して子どもは母親に連れられて出て行ってしまいましたが、いつか子どもが会いにきてくれるかもしれない。そう思ってるんですよ。私が引っ越ししてしまうと、もう二度と会えなくなってしまう気がするんです。子どもとはいえ、私の転居先をわざわざ探していくって、今の世の中では大変ですから。

 

年金はもらっています。でもそれじゃとても生活できないです。年金額は家賃くらいですから。生活費は、友達の会社でアルバイトさせてもらってるんです。それがコロナで止まっちゃって、だから払えなくなってしまって。

 

この年だとなかなか、働く場が見つけられないんです。こんなに健康で体力もあるのに。でもここに住みたいので、何とかがんばります!

 

家って、思いが詰まっていて。別れた子どもとの唯一の繫がりのような気がするんですよ。ただの生活の場だけじゃないんですよね……。

 

だから、だから絶対に出られないんです。

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安住さんの事情が分かりました。だから必死にこの家にこだわっていたのでしょう。ただ正直、今の年齢からすると、収入は下がることはあっても、上がることはありません。ましてこれから働けなくなったり、病気になったりしないこととの闘いです。

 

年金だけで生活できる余裕がない場合、とにかく生活保護の支給ラインである家賃帯の物件に引っ越すのがいちばん安全です。というのも多くの人が憧れるPPK(ピンピンコロリ)以外、年齢や体調不良で年金以外の収入はいつか減るからです。

 

そうなってから生活保護の申請をしようと思っても、今住んでいるところの家賃が高ければ申請が通りません。生活保護を受給しようと思えば、その段階で生活保護の基準に合う物件に引っ越さねばならないのです。

 

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不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

太田垣 章子

ポプラ社

著者は、20年にわたり2500件以上の不動産トラブルを扱ってきた異色の司法書士。 業界紙・業界誌などでの連載や「家賃滞納という貧困」「老後に住める家がない!」などの著作を通じて(ともにポプラ新書)、業界では知らない人…

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