コロナ感染拡大の影響により在宅時間が増える中、マンションやアパートではペットに関するトラブルが深刻化しています。※本記事では、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏の書籍『不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ社)から一部を抜粋・編集し、事例を紹介していきます。

「ペット不可アパート」…ゴミの中から発見されたのは

「えらいもん見つけちゃったんだよぉ。どうしたらいいかな」

 

ここ4、5年お付き合いのある家主の妹尾猛さんから相談を受けました。どうやらペット不可アパートなのに、ゴミステーションに猫の餌の缶詰が捨てられるようになったと言うのです。入居者に猫を飼っている人がいるようだ……。そんな心配事でした。

 

物件は、総武線の各駅停車しか停まらない駅から歩いて20分ちょっと。人気の高いエリアではありません。お父さんから相続で受けたアパートで、一旦退去されてしまうと新しい入居者を確保するのが難しいのです。

 

「猫を飼っている入居者を特定して退去してもらうか、それともこのままお住まいいただくか、そのどちらかじゃないですかね」

 

私がそう言うと、妹尾さんは頭を抱えます。

 

「ただでさえ空室もあるのに、猫を飼っている人まで退去させちゃったら、がら空きの物件になっちゃうよ。困ったなあ」

 

妹尾さんは、どうやってこの空き缶を見つけるようになったのでしょうか。

 

「コロナでさ、物件のゴミ捨て場が氾濫するようになったんだよ。それで毎回整理したり掃除したりするようになったらさ、空き缶がいつも捨てられている訳。これが残念ながら人間用じゃないんだよね。もぉ、やられたって感じ」

 

妹尾さんも、コロナでのゴミ問題に悩まされた家主のひとりでした。4月頃から、収集日には必ず物件を回り、回収されなかったゴミの整理をしていた妹尾さん。空き缶はいつもゴミステーションの隅にかためて置かれていました。

 

ペットを飼うのは止めて欲しい、でも退去はしてほしくない。妹尾さんの希望を叶えるとすれば、住人がペットを手放す以外方法は見つかりません。とはいえペットを手放すのはなかなかハードルが高いもの。一時的に預かっている場合でなければ、退去かペットを認めるかの二択になってしまいます。

 

まずは計8戸のアパートの、どの部屋の入居者が猫を飼っているのか探ることから始めました。幸い妹尾さんの自宅と物件は目と鼻の先。妹尾さんは大学生のお孫さんに、アルバイトと称して一日1万円のお小遣いで見張っていてもらうことにしました。

 

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不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

太田垣 章子

ポプラ社

著者は、20年にわたり2500件以上の不動産トラブルを扱ってきた異色の司法書士。 業界紙・業界誌などでの連載や「家賃滞納という貧困」「老後に住める家がない!」などの著作を通じて(ともにポプラ新書)、業界では知らない人…

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