コロナ感染拡大の影響により在宅時間が増える中、マンションやアパートではゴミに関するトラブルが深刻化しています。※本記事では、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏の書籍『不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ社)から一部を抜粋・編集し、事例を紹介していきます。

緊急事態宣言後、ステイホームでゴミが増えた?

緊急事態宣言以降、住宅のトラブルで顕著だったのは、ゴミ問題でした。日頃忙しいために見て見ぬふりをしてきた、家に溜まった不用品。家にいる時間が増えたことで、片付けを始めた人が増えたのです。

 

当然、集合住宅などのゴミステーションは、捨てられた物で溢れ出しました。賃貸業を営んで24年の中居重利さんは、目の前の光景に驚きました。自分の収益物件のゴミステーションが、ゴミで溢れ、スライドドアが閉まらなくなっていたのです。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

そしてその半開きになったドアの前にも、ゴミが積まれていました。今日は月曜日。生活ゴミの回収日です。ひと目見ただけでも、生活ゴミ以外の物も交じっていると分かりました。賃貸物件は、管理が重要。そう父親から教え込まれた中居さんは、ゴミの日には自分の物件を回り、きちんとゴミが分別されて捨てられているかを確認していたのです。

 

長年見続けてきたからこそ、この異常な状況に愕然(がくぜん)としました。捨てられていた物は、ぬいぐるみ、洋服、靴、壊れたスーツケース、賞味期限を過ぎた缶詰。これは缶の蓋も開けられず、中身が入ったまま捨てられています。

 

まだまだあります。壊れたおもちゃ、本、雑誌、汚れたシーツも洗わずそのまま袋に入っています。紙おむつも汚物がトイレで流されぬままビニール袋に入れられているのか、異臭を放っていました。

 

今まで、入居者の質が良いことが自慢でした。物件を綺麗に管理していれば、良い入居者が入ってくれ、ひいては物件の価値も上がる、そう教えられたまま実践してきたのです。それがこの光景で、全否定された気分でした。

 

「これじゃ、ゴミの収集車も持って行ってくれません。仕方なく、せめて生活ゴミだけは回収して欲しいので、私が分別したんです。そうしたら驚きましたよ。捨てられた洋服でガラスの置物が包まれていて、そのまま生活ゴミとして袋に入っていたんです。やけに重いな、と思ったら案の定でした。これじゃ、収集の人たちも怪我しかねません。電池とかも、靴下の中に入れられてそのまま捨てられていました」

 

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不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

太田垣 章子

ポプラ社

著者は、20年にわたり2500件以上の不動産トラブルを扱ってきた異色の司法書士。 業界紙・業界誌などでの連載や「家賃滞納という貧困」「老後に住める家がない!」などの著作を通じて(ともにポプラ新書)、業界では知らない人…

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