コロナ感染拡大の影響により在宅時間が増えるなか、ゴミが捨てられなくなってしまう若者が問題になっています。※本記事では、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏の書籍『不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ社)から一部を抜粋・編集し、事例を紹介していきます。

ゴミステーションに持って行くことすら…

緊急事態宣言以降、ゴミステーションにゴミが溢れるというトラブルが続出しました。家にいることが増え、日ごろできなかった断捨離をするようになり、飲食店がテイクアウトを始め、家でご飯を食べる機会が増えて、必然的にゴミの量は多くなりました。

 

ただ一方で、これはまだ正常な精神状態だからゴミを出せたということ。気持ちが誤作動を起こすと、ゴミをゴミステーションに持って行くということすらできなくなります。

 

こうして部屋の中にゴミが溜まってしまうということが起こるのです。ちょうど夏の盛り、私は家主の中山かおりさんから電話をもらいました。

 

「物件の入居者からクレーム受けちゃって。ちょっと相談してもいい?」

 

聞いてみると、住人の方が悪臭に困っているということでした。中山さんは一瞬事故物件ということが頭によぎったそうですが、幸い、今回は違いました。

 

「匂いの原因の部屋に、行ったのよ。ちょうど家賃も遅れ気味だったから。そうしたら、入居者がドアを開けたら室内がゴミでひどいことになってるのよ。でも入居者はゴミの上を歩きながら、悪いと思っていないのか、妙に反応が薄いのよ。これってどうしたらいいの?」

 

私が賃貸のトラブルの訴訟手続きに携わるようになって20年近くたちますが、以前はゴミ屋敷の案件はそれほど多くはありませんでした。

 

特に増えてきた感があるのは、この5、6年でしょうか。家賃滞納をしている人の中で、部屋が汚いということはよくあるのですが、家賃を払っているけれど部屋がゴミ屋敷という案件も、年間10件近く相談を受けるようになりました。

 

そして時代とともに、女性の住むゴミ屋敷が増えてきた印象です。私が見てきた中で、ゴミ屋敷と呼ばれる部屋はどのような状態かと言うと……。

 

ドアを開ければ腰高くらいまでゴミが積もっていて、天井までの距離がとても短くなっているとか、浴槽にもゴミが入っていてお風呂が使えないとか、ゴミのために冷蔵庫の下のドアが開かないとか、もちろん寝る場所もないのでゴミの上で横たわるとか。書きだしたらキリがありません。

 

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不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

太田垣 章子

ポプラ社

著者は、20年にわたり2500件以上の不動産トラブルを扱ってきた異色の司法書士。 業界紙・業界誌などでの連載や「家賃滞納という貧困」「老後に住める家がない!」などの著作を通じて(ともにポプラ新書)、業界では知らない人…

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