その他 社会問題
連載「不動産大異変」恐ろしすぎる家のトラブル【第7回】

年収400万円の26歳男性が「家賃滞納」…「怖くなっちゃって。」どうしようもならない状況に、83歳の高齢大家は司法書士へ助けを求めた

ステイホーム家賃

年収400万円の26歳男性が「家賃滞納」…「怖くなっちゃって。」どうしようもならない状況に、83歳の高齢大家は司法書士へ助けを求めた

コロナ感染拡大の影響によって雇止めにあい、家賃が払えなくなってしまった事例が相次いでいます。※本記事では、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏の書籍『不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ社)から一部を抜粋・編集し、実際のトラブル事例を紹介していきます。

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家賃を「半年以上滞納」している「26歳男性」

2020年、65歳以上が国民の約30%となった日本では、当然ながら家主にも高齢者が増えてきました。若い家主なら、入居者が滞納したらすぐに督促するでしょう。解決しなければ、誰かに相談することもできるはずです。でも高齢者になると、すぐには行動に移せなくなります。

 

83歳になる家主の山本佐知子さんの相談を受けたときには、賃借人から半年以上家賃が支払われていない状況でした。逆算すると春ごろから、家賃が支払われていません。

 

「誰に相談すればいいのか分からなくて。それにコロナでしょう? 家から出るのも億劫でね」

 

佐知子さんは管理会社から私のことを聞いたらしく、困っていらっしゃったので私が現地に行きました。駅からほど近い建物は、築40年以上経っているでしょうか。周囲の新しい建物に取り残されたようにひっそりと建っていました。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

1階が家主の住居で、外階段から上がって2階に2部屋ある木造アパートです。家主が下に住んでいるとプライバシーが確保しにくく、建物の風貌からすると若い人を集客するには厳しそうだなというのが物件の第一印象でした。

 

ところがこの2階に住む滞納している入居者は、予想に反して26歳の若い男性でした。家賃は6万円の1K。東京23区の駅近となれば、格安物件の部類です。この物件を選ぶということは、地方から出てきて最新の設備までは求めず値段を重視したのかなと想像しました。

 

家賃収入を生活費としているので、収入が半減すれば年金暮らしの佐知子さんにとっては痛手です。

 

「私がひとりで1階に住んでいるので、2階に孫みたいな子が住んでくれると安心かと思ってね。まぁ、良い子なのよ。だから余計に督促できなくてね。でもこの建物も、売ろうかと悩んでいるのよ。駅近だから売ってくれとうるさくてね。こんな古い建物だから、壊すのも簡単なんでしょ? 壊して若い子が好みそうなアパート建てたいみたいよ。ずっと住み続けたい気持ちもあるけど、こんなコロナとか出てきたら、もうひとり暮らしも不安だしねえ」

 

連日の新型コロナウイルスの感染者の報道ばかりを見ていれば、心細くなってくるのも当たり前です。佐知子さんは物件を売って、終の棲家に移ろうかと悩んでいる最中でした。

 

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OAG司法書士法人代表 司法書士
株式会社OAGライフサポート 代表取締役 

30歳で、専業主婦から乳飲み子を抱えて離婚。シングルマザーとして6年にわたる極貧生活を経て、働きながら司法書士試験に合格。
登記以外に家主側の訴訟代理人として、延べ2500件以上の家賃滞納者の明け渡し訴訟手続きを受託してきた賃貸トラブル解決のパイオニア的存在。
トラブル解決の際は、常に現場へ足を運び、訴訟と並行して賃借人に寄り添ってきた。決して力で解決しようとせず滞納者の人生の仕切り直しをサポートするなど、多くの家主の信頼を得るだけでなく滞納者からも慕われる異色の司法書士でもある。
また、12年間「全国賃貸住宅新聞」に連載を持ち、特に「司法書士太田垣章子のチンタイ事件簿」は7年以上にわたって人気のコラムとなった。現在は「健美家」で連載中。
2021年よりYahoo!ニュースのオーサーとして寄稿。さらに、年間60回以上、計700回以上にわたって、家主および不動産管理会社向けに「賃貸トラブル対策」に関する講演も行う。貧困に苦しむ人を含め弱者に対して向ける目は、限りなく優しい。著書に『2000人の大家さんを救った司法書士が教える 賃貸トラブルを防ぐ・解決する安心ガイド』(日本実業出版社)、『家賃滞納という貧困』『老後に住める家がない!』(どちらもポプラ新書)がある。

著者紹介

連載「不動産大異変」恐ろしすぎる家のトラブル

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

太田垣 章子

ポプラ社

著者は、20年にわたり2500件以上の不動産トラブルを扱ってきた異色の司法書士。 業界紙・業界誌などでの連載や「家賃滞納という貧困」「老後に住める家がない!」などの著作を通じて(ともにポプラ新書)、業界では知らない人…

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