新たな取り組みは簡単には定着しない
多くの部下が上司に対し、「自分ができていないことを部下に言ってほしくない」という不満を持っています。部下は上司の行動をよく見ていて、自分ができていないことを求めても、部下はなかなか納得して取り組みません。部下の意識を変えるためには、まずは上司が自らの意識を変えて、本気で取り組む姿勢を見せなければなりません。
また、新たな取り組みは、一度や二度の呼びかけでは定着しません。粘り強く繰り返しメッセージを発信することで、じわりじわりと定着していくものです。同時にメンバーにも協力を仰ぎ、意見を聴きつつ、一緒に最適な方法を模索する姿勢をリーダー自身がぶれずに持ち続けることで、新たな時代に向けた組織作りが現実味を帯びるようになるのです。
士業の部下として経営者を支える
これからの組織作りを経営者の視点でお話ししてきましたが、部下の立場にあるのであれば、そうした取り組みを進めようとする経営者を支えていただければと思います。
経営者の多くは、豪快そうに見えて、案外繊細で自省的だったりします。そのため部下から嫌われたくない、でもやるべきことは嫌われても実行しなければならない──そんな葛藤に苦しみながら、従業員とその家族を守る責任を負っています。
技術の進歩によって市場が大きく変化し、従来通りの経営ができるかどうかわからない今後の時代においても、部下とその家族の生活を守らなければならないという経営者の不安やストレスを想像してみてください。そして、市場の変化に対応すべく新たなアクションを起こそうとした際に、従業員から反発された場合の気持ちを想像してみてください。
経営者がこれからの過渡期を乗り越えていこうと新たなアクションを起こそうとしているのであれば、仕事が増えるかもしれないし、面倒くさいと思うかもしれませんが、経営者意識を持ってそのアクションを支援していってください。そして、ご自身もAIが台頭する将来においても高い付加価値を発揮するために必要な能力を習得していってください。その意識が自身を助け、そして事務所を助けることにもなるのです。
藤田耕司
一般社団法人日本経営心理士協会代表理事
FSGマネジメント株式会社代表取締役
FSG税理士事務所代表
公認会計士、税理士、心理カウンセラー
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