2021年1~3月期法人企業統計・設備投資などについて

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

設備投資(除くソフトウェア)前年同期比▲9.9%、6四半期連続の減少

 

1~3月期GDP第2次速報値で設備投資、在庫変動は第1次速報値から僅かに上方修正か

 

 

●21年1~3月期の法人企業統計調査の全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は▲9.9%と、10~12月期の前年同期比▲6.1%から3.8ポイント伸び率が悪化した。6四半期連続の減少になった。10~12月期で前年同期比▲10.7%の減少だった製造業は、1~3月期では同▲6.6%と減少率が4.1ポイント縮小した。非製造業は10~12月期で前年同期比▲3.4%の減少だったが、こちらは1~3月期で同▲11.5%の減少と 8.1ポイント伸び率が悪化した。

 

●1~3月期・全産業(金融業・保険業を除くベース)設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の季節調整済み前期比は▲0.7%と4四半期連続減少した。製造業は+1.5%と6四半期ぶりに増加した。非製造業は▲1.9%と4四半期連続の減少になった。

 

●なお、法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)の季節調整済み前期比は1~3月期で▲0.4%と4四半期連続の減少になった。製造業は+0.5%と6四半期ぶりの増加に、非製造業が▲0.9%と2四半期ぶりの減少になった。

 

●法人企業統計(ソフトウェア投資額を含むベース)で1~3月期の全産業の前年同期比は▲7.8%で10~12月期の▲4.8%と比べ3.0ポイント伸び率が悪化した。資本金別の内訳をみると、資本金10億円以上の大企業では前年同期比は▲13.4%と、10~12月期の▲1.0%から12.4ポイント悪化した。一方、資本金1億円以上10億円未満の前年同期比は+0.1%と、10~12月期の▲13.3%から13.4ポイント改善、減少から増加に転じた。また、資本金1,000万円以上1億円未満の中小企業の前年同期比は+3.8%と、10~12月期の前年同期比▲6.6%からは10.4ポイント改善、減少から増加に転じた。

 

●供給サイドのデータに基づいて算出した1~3月期GDP第1次速報値では、名目設備投資の前年同期比減少率は▲5.6%と6四半期連続の減少になった。10~12月期の▲4.0%からは減少率が1.6ポイント拡大した。法人企業統計では全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の前年同期比は10~12月期から1~3月期にかけ3.8ポイント悪化した。

 

●1~3月期GDP第1次速報値で、供給サイドのデータに基づいて算出した、1~3月期の名目設備投資の供給側推計値の名目原系列前期比は+6.7%で、需要側推計値(仮置き値)の名目原系列前期比は+27.1%であると公表されているが、1~3月期法人企業統計調査・全産業(金融業・保険業を除くベース)の設備投資(ソフトウェア投資額を除くベース)の原数値ベースの前期比は+29.5%となり、仮置き値より2.4ポイント高い増加率になった。

 

●1~3月期GDP第2次速報値の設備投資では、断層補正がやや上方修正要因となるとみられ、主に法人企業統計からみる需要側推計値はやや上方修正要因になろう。一方、ソフトウエア投資の部分は特定サービス産業動向調査3月分確報値からみて下方修正要因になるとみた。総合的に判断し、第2次速報値の実質設備投資前期比▲1.3%程度と、第1次速報値の同▲1.4%から若干減少率が縮小するとみた。

 

(民間在庫変動)

 

●法人企業統計の仕掛品在庫をみると21年1~3月期は▲2兆9,849億円で20年1~3月期の▲4兆7,322億円から+1兆7,474億円の増加となった。また、原材料・貯蔵品在庫は21年1~3月期は+2,363億円で20年1~3月期の▲13,377億円から+1兆5,740億円の増加となった。合わせて+3兆3,214億円、前年同期に比べ増加した。

 

●一方、21年1~3月期のGDP第1次速報値の名目民間在庫変動・原数値は▲2兆3,398億円で20年1~3月期月期の▲1兆8,375億円からは▲5,023億円の減少であった。21年1~3月期GDP第1次速報値で在庫投資・名目原数値・前年同期比寄与度は▲0.4%であった。この内訳に関しては、雰囲気しか教えてもらえないが、4項目で一番大きなマイナス寄与は流通品在庫、次に大きなマイナス寄与は仕掛品在庫、そして製品在庫が続くということだ。原材料在庫だけがプラス寄与ということだ。

 

●今回の法人企業統計からみると、仕掛品在庫はプラス寄与に転じる可能性があろう。GDP第2次速報値で、今回の法人企業統計はGDP第2次速報値では名目民間在庫変動・原数値・前年同期比寄与度は第1次速報値の▲0.4%から▲0.3%程度になりそうだ。

 

(21年1~3月期GDP・第2次速報値予測)

 

●6月8日に発表される21年1~3月期第2次速報値では、本日の法人企業統計の発表を受けて、設備投資、民間在庫変動などを中心に改定される。

 

●21年1~3月期GDP第2次速報値では、実質設備投資は前期比▲1.3%程度と、第1次速報値の同▲1.4%から若干減少率が縮小すると予測した。また、実質民間在庫変動・季節調整値・前期比寄与度は第1次速報値の+0.3%から+0.4%程度になるとみた。

 

●また、公共工事出来高の前年比は1~2月分平均が+5.5%だったが、1~3月期の前年同期比も+5.5%と同じ伸び率になった。このことからみて第2次速報値での実質公共投資の前期比は▲1.1%程度の減少と第1次速報値と同程度の減少率になると予測する。

 

●21年1~3月期GDP第2次速報値で、実質GDPは前期比▲1.2%程度、前期比年率▲4.8%程度を予測する。第1次速報値の前期比▲1.3%程度、前期比年率▲5.1%から僅かな上方修正となろう。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年1~3月期法人企業統計・設備投資などについて』を参照)。

 

(2021年6月1日)

 

宅森 昭吉

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

理事・チーフエコノミスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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